2010 Fiscal Year Annual Research Report
分子イメージングによるがん病態の動的解析:臨床分子イメージングの実現へ向けて
Project/Area Number |
20390320
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久下 裕司 北海道大学, アイソトープ総合センター, 教授 (70321958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉木 長良 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30171888)
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827)
趙 松吉 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (80374239)
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Keywords | 放射線 / 癌 / 生体分子 / 臨床 / 分子イメージング |
Research Abstract |
悪性腫瘍の分子レベルの変化を画像化しうる分子イメージング法の特長を生かし、臨床診断への応用が可能な新しい癌の診断・治療システムを提案すること、さらには、これをがんの分子標的療法や放射線治療の治療戦略に役立てることを目的とし、平成22年度は以下検討を行った。 1.分子標的治療に関する研究と普遍性の検証 Cetuximabの治療効果を、低酸素イメージング剤である^<18>F-FMISOを用いた動物PETにより評価した。動物には、ヒト肺癌細胞を移植したマウスを用い、治療群にはCetuximab(1.0mg)を腹腔内に投与し、5日後に^<18>F-FMISO PET撮像を行った。その結果、Cetuximab治療により、^<18>F-FMISOの腫瘍集積は腫瘍サイズの変化より前に低下することが示唆された。すなわち、^<18>F-FMISO-PETによる、低酸素状態を指標としたCetuximabの治療効果評価の可能性が示された。 2.血管新生を標的とする新規イメージング剤の開発 前年度までに開発したチミジンホスホリラーゼ(TP)阻害薬の放射性標識体のイメージング剤としての有効性確認のため、TPをノックダウンしたA431皮膚がん細胞へのI-125標識体の集積を検証した。その結果、I-125標識体の腫瘍細胞集積は、siRNA導入によるTP発現の低下に伴って低下した。すなわち、I-123標識体により、TP発現に特異的なイメージングができる可能性が示唆された。 3.臨床への展開 上記TP阻害薬の放射性標識体のイメージング剤としての臨床応用に向けて、安全性の評価を行った。その結果、マウスにおける検討から、I-123標識体による全身の線量当量は17μSv/MBqであり、^<18>FDG(24μSv/MBq)と同等以下であった。ラットを用いた拡張型単回静脈内投与毒性試験の結果、最大無毒性量は1.8mg/kgと推察された。
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Research Products
(17 results)