2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤特異的マイクロRNAの機能解析と異常妊娠早期診断への臨床応用のための基盤研究
Project/Area Number |
20390437
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
瀧澤 俊広 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90271220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 俊行 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60188175)
松原 茂樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (20209597)
石橋 宰 日本医科大学, 医学部, 講師 (70293214)
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Keywords | 産科学 / 妊娠 / 胎盤 / microRNA / 妊娠高血圧症候群 |
Research Abstract |
胎盤におけるmicroRNA(miRNA)の特異的機能の解明を行うと共に、miRNAによる転写後遺伝子発現調節の仕組みから異常妊娠[妊娠高血圧症候群等]の分子病態を解析し、胎盤に発現している疾患特異的miRNAを臨床ツールとして用いた早期診断・治療開発につながる基盤研究を目的に研究を行った。1)異常妊娠胎盤の網羅的miRNAプロファイル解析:妊娠高血圧症候群における主要な病型である妊娠高血圧腎症の胎盤で大規模miRNA発現プロファイル解析を行い、妊娠高血圧腎症の胎盤で発現が上昇している22個のmiRNAを見出した。コンピュータによる標的遺伝子候補解析から、胎盤に特異的に発現し、機能している標的遺伝子候補として、胎盤特異的E2合成酵素遺伝子HSD17B1を見出した。妊娠高血圧腎症の胎盤ではmRNAおよび蛋白質の両方のレベルでHSD17B1の発現が有意に低下していた。HSD17B13'-UTRルシフェラーゼアッセイにより、妊娠高血圧腎症の胎盤で発現が上昇したmiRNAのうちmiR-210とmiR-518cは、直接結合し抑制的に作用することが示された。妊娠高血圧腎症の胎盤でmiRNAの発現異常が起きており、それによって胎盤で特異的に機能している酵素の調節不全が引き起こされていることをはじめて明らかにした。2)臨床疫学解析:HSD17B1蛋白質は、妊婦血液でHSD17B1が検出可能であり、妊娠高血圧腎症発症の妊婦血液では、血漿HSD17B1値が有意に低下していることを見出した。さらに、前向きコホート研究により、妊娠高血圧腎症発症前の血漿検体で動態解析を行い、発症前に血漿HSD17B1値が有意に低下していることを突き止めた。さらに、受信者動作特性曲線の解析から、血漿HSD17B1値が優れた妊娠高血圧腎症の予知マーカーとなり得ることが示された。
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Research Products
(12 results)