2011 Fiscal Year Annual Research Report
Gap-junctionを介した象牙芽細胞複合体と歯髄神経・循環系との相互作用
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20390482
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 英治 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20222896)
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Keywords | 象牙芽細胞 / ギャップ結合 / イオンチャンネル / TRPチャンネル / 電気カップリング / 歯髄リンパ管 / 歯髄炎 / 機械的歪み |
Research Abstract |
1.象牙芽細胞膜の歪検知機構 個々の象牙芽細胞膜には機械的歪みで開閉するイオンチャネルが存在し、MGs-MTx4(機械刺激感受イオンチャンネルブロッカー)で抑制された。このイオンチャンネルは低張液、高張液の両方に対して開き、電流を流した。 ただし、象牙芽細胞はギャップ結合を介して互いに結合した、電気容量の大きな集合体、すなわち単体としてよりsyncitiumとして情報共有することを明らかにした。この情報伝播は水平方向、垂直方向ともに行われることがわかった。 2.動水力学的象牙細管内容液の移動に要する機能的スペースの計測 歯髄リンパ系が関与する外向き組織圧によって象牙細管内容液が外向きの流れを有している。この流れによって、大きさと励起波長が異なる蛍光microsphereを露出象牙質面に作用させ、多光子励起顕微鏡(Two-photon microscopy)を用いて形態学的に解析を試みた。その結果、0.1-0.2μmのmicrosphereは象牙芽細胞突起と象牙細管壁の間のギャップと通過して歯髄に到達することができた。象牙細管は本来外向きに細いテーパーを有しているが、この内側ほど狭いスペース(逆向きテーパー)が動水力学的水圧を上昇させる機能的意味をもち、これまで注目されてきた歯髄感覚神経終末の歪だけではなく、象牙芽細胞突起の歪を生じていると考えられる。 以上のことから、象牙細管が外向きの先細りであるにも関わらず、象牙芽細胞は象牙質内側で象牙細管との間の狭いスペースをもち、これが動水力学的水圧を上昇させ神経線維終末の機械的変形と同時に象牙芽細胞突起の変形をおこしていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第一に、象牙芽細胞の膜に存在する機械刺激感受イオンチャンネルを検出ことができた。第二に、外向きにテーパーのある象牙細管に象牙芽細胞突起との間に逆向きテーパーが存在することが、蛍光microsphereを用いた今回の研究で明らかになった。第二の結果は第一の結果を生じる理論的根拠として重要なものである。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに(1)象牙芽細胞の集合体としての機能、(2)石灰化を引き起こすカスケード、(3)脈管系と象牙芽細胞との相互連絡を明らかにしていきたい。
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Research Products
(12 results)