2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390500
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 邦夫 Kyushu University, 歯学研究院, 教授 (90202952)
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Keywords | 骨置換材 / 炭酸アパタイト / 骨リモデリング / 水熱反応 / 炭酸アパタイトフォーム / 多孔体 |
Research Abstract |
超高齢社会への対応やデンタルインプラントの適応症例拡大に対する社会的要求から、骨造成術式の向上が急務とされている。骨造成術式においては自家骨移植が第一選択であるが、自家骨採取に伴う健全部位への侵襲、採取可能骨量の制限、自家骨形態の制限等の問題があり、自家骨と同様に機能する人工骨補填材の創製が強く望まれている。 本研究において現在臨床応用されている水酸アパタイトの問題点が組成および形態にあると考え、組成としては炭酸アパタイト、形態としては海綿骨のような連通多孔体構造を模倣することを検討した。 本年度は海綿骨形態を示すポリウレタンフォームをテンプレートとして用いる炭酸アパタイトフォームの機械的強さ向上に関する検討を行った。ポリウレタンフォームをリン酸三カルシウム懸濁液に浸漬し、焼成するとリン酸三カルシウムフォームが得られる。リン酸三カルシウムフォームを炭酸ナトリウム水溶液中において水熱処理することによって炭酸アパタイトフォームが得られることがわかったが、気孔率が90-95%と極めて高いために機械的強さに問題があることがわかった。気孔率が高いことは骨への置換の観点からは有用であるが、機械的強さとのバランスをとる必要があるため、焼成条件等を検討した。その結果、リン酸三カルシウムフォームを調製した後、当該フォームをさらにリン酸三カルシウム懸濁液に浸漬し、リン酸カルシウムフォームの骨梁にリン酸カルシウム粉末を付着させ、焼成することによって太い骨梁構造を持つリン酸三カルシウムフォームを調製することが可能であることがわかった。太い骨梁構造を持つリン酸三カルシウムフォームを炭酸塩存在下で水熱処理することによって炭酸アパタイトフォームが形成されることがわかった。組成分析の結果、得られた炭酸アパタイトフォームの組成は骨の無機主成分と同じB型炭酸アパタイトであることがわかった。また、太い骨梁構造を持つリン酸三カルシウムフォームから調整した炭酸アパタイトフォームはこれまでの炭酸アパタイトの2~4倍の機械的強さ示すことがわかった。
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