2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20390511
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 直士 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70181419)
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
弦巻 立 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10345522)
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50323978)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
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Keywords | GABAA receptor / muscimol / BDNF / Glia / trigeminal / subnucleus caudalis / nociception / membrane potential |
Research Abstract |
本年度は三叉神経系に加えられた侵害刺激が三叉神経脊髄路核尾側亜核においてGABA_A受容体による抑制効果を有する可能性について、グリアと関連して検討を行った。 延髄三叉神経脊髄路核尾側亜核を含む厚さ600μmの水平断スライス標本を作製し、50μMのBDNF(Brain derived neurotrophic factor)に浸漬してから20μMのmuscimolを還流下でtractを電気刺激した群と、クレブス液に浸漬してから20μMのmuscimolを灌流下でtractを電気刺激した群の2群を準備した。脳切片の膜電位測定は、倒立型蛍光顕微鏡ステージ上の灌流チャンバー中にDi-4-ANEPPSで染色した脳切片を置き、36℃の人工脳脊髄液で灌流した状態で行った。微小タングステン電極を用いて、三叉神経への求心路であるtractへ100μA、100μsのパルス刺激を与え、それによって色素で染色した切片上に誘起される蛍光強度変化を高速カメラシステムMiCAM02(Brainvision Co.)を用いて計測した。膜電位画像は1.2ms毎の連続画像として記録し、32回加算平均した。実験は2群とも、初めにコントロール状態での脊髄路核内での広がりを確認した後、muscimol灌流下で刺激してその効果を確かめて、最後に20μM CNQX還流下でも同様に刺激を行いこれらの間で興奮伝搬の状態を比較した。 その結果、BDNFによる前処置を行うことにより、求心路電気刺激により誘発される興奮伝搬の領域はmuscimol灌流により増大する効果を発現させ、さらにこれらがCNQXにより抑制される現象を多く観察した。 これらの結果はGABA作動性の介在ニューロンは、正常状態ではほとんどシナプスを介した一次ニューロンからの興奮伝搬に作用することは少ないが、侵害刺激により放出されたグリア由来のBDNFはそれらのニューロンを活性化し、興奮伝搬に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。
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