2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生因子angiogeninを分子標的とした癌の骨破壊制御に関する基礎的検討
Project/Area Number |
20390516
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐々木 朗 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00170663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 晃治 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40243480)
志茂 剛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40362991)
吉岡 徳枝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50362984)
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Keywords | 血管新生因子 / angiogenin / 骨破壊 / ノックダウン / 骨浸潤 / 破骨細胞 / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
【背景】 血管新生は癌の増殖、浸潤、転移の課程において必要不可欠なステップであり、近年では血管新生阻害が癌治療の新たな戦略として広く使われ、様々な血管新生阻害剤が開発され臨床に応用されている。口腔癌において、癌細胞はしばしば顎骨に浸潤し、癌誘発の骨破壊は疼痛、摂食障害、病的骨折を引き起こすなど,患者のQOLを低下させる負の要因となる。angiogeninは分子量14.2 kDaのリボヌクレアーゼ活性をもつ血管新生蛋白であり、癌の進展過程において、腫瘍血管新生のみならず癌細胞の増殖に重要な役割を果たしている。最近、血管新生と破骨細胞性骨吸収との関連性が報告されているが詳細は不明である。 【研究目的と方法】 口腔扁平上皮癌における癌誘発の骨破壊に対するangiogeninの役割を調べることを目的にangiogeninの分泌レベルが高いヒト口腔扁平上皮癌細胞株HSC-2に、angiogenin siRNA発現プラスミドDNAを遺伝子導入してangiogenin RNAi transfectantを作製した。 マウス皮下腫瘍移植モデル,心腔内注射法による癌の骨転移モデル,マウス大腿骨骨髄腔内癌細胞注射モデルを各々作製し、腫瘍増殖,骨破壊について組織学的、X線学的に検討した。 【結果】 HSC-2細胞においてangiogeninの発現をノックダウンすると、皮下腫瘍移植モデルでは腫瘍の増殖のみならず血管新生も抑制された。心腔内注射法骨転移モデルでは有意な差がなかった。大腿骨骨髄腔内注射モデルにおいては、angiogenin RNAi transfectant群はコントロール群と比較して骨破壊が抑制された。以上の結果からangiogeninが癌誘発の骨破壊において新たな分子標的になりうる可能性が示唆された。
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