2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌やヒト細胞に存在する多機能タンパク質GAPDHが歯周病細菌感染に果たす役割
Project/Area Number |
20390534
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永田 英樹 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50260641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保庭 雅惠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00303983)
前田 和彦 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00346165)
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Keywords | GAPDH / 歯周病細菌 / ヒト細胞 / 感染 / 付着 |
Research Abstract |
歯周病細菌が病原性を発揮するためには、口腔内に定着することが必要である。我々は、これまでに、有力な歯周病細菌Porphyromonas gingivalisが口腔内に定着する際に、初期デンタルバイオフィルム形成菌である口腔レンサ球菌表層に存在するGAPDHとの相互作用が重要な役割を果たし、この相互作用はP.gingivalisの線毛とStreptococcus oralis GAPDHのアミノ酸残基166-183に相当する領域との結合によることを示した。本研究では、まず種々の口腔細菌の菌体表層GAPDH活性を測定した。その結果、Actinomyces israelii, Actinomyces viscosusやAggregatibactor actinomycetemcomitansなどの口腔細菌に強い菌体表層GAPDH活性が認められた。GAPDHは非常によく保存されたタンパク質であるため、これらの口腔細菌の菌体表層に存在するGAPDHも口腔レンサ球菌GAPDHと同様の機序でP.gingivalis線毛と結合し、バイオフィルムの形成に関与している可能性が推測された。そこで、S. oralisGAPDHのアミノ酸配列166-183に相当するペプチドを合成し、上記の口腔細菌とP. gingicvalisとのバイオフィルム形成に及ぼす合成ペプチドの阻害効果を共焦点レーザー顕微鏡により検討した。その結果、合成ペプチドは、P. gingivalisと強い菌体表層GAPDH活性を有する口腔細菌とのバイオフィルム形成を阻害した。以上の結果より、口腔細菌の菌体表層に存在するGAPDHは、P. gingivalis線毛と結合することによりP. gingivalisの定着に広く関与しており、今回作製した合成ペプチドは歯周病細菌の定着阻害剤として応用できる可能性が示唆された。
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