2011 Fiscal Year Annual Research Report
フランス公立初等学校における教育方法革新運動の系譜―学校とコミュニティの協働―
Project/Area Number |
20402058
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
赤星 まゆみ 西九州大学, 子ども学部, 教授 (50150975)
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Keywords | 教育学 / 教育方法 / 国際研究者交流 / フランス / 初等教育 / 異年齢学級教育 / 学力 / 新教育 |
Research Abstract |
本年度は、フランス初等教育の独自な学習期制の改革を先導した異年齢学級編成実験校の実践を具体的に検討した。実施内容は、以下のとおりである。 1.「異年齢学級教育に関する国際比較研究会」(場所:広島大学東千田キャンパス)(世話人:広島大学大学院教育学研究科教授深澤広明氏)を開催した。研究協力者として、フランスより、マルティーヌ・ルーセル氏(イゼール県初等学校教諭)、アニー・コーブス氏(ヴァルドワーズ県初等学校指導主事)、シルヴィ・マルタン氏(ヴァルドワーズ県ブルソー初等学校教諭、元校長)を招聘し、報告・討論会を行った。 2.2012年3月に、パリ市とその近郊、オルレアン市郊外、リール市郊外、グルノーブル市で調査を行った。(1)学習期制実施後20余年を経た現在の状況の情報・資料を入手した。(2)学校と家庭との関係、地域的背景などを具体的に知ることができた。(3)インタビューや研究会参加によって、教育方法のイノベーションとしての学校教育の研究開発に関する総合的な知見を得た。DRDIE(国民教育省学校教育局教育革新・開発研究部門)の主催する「ユネスコにおける教育イノベーション研究大会への参加が許可され、実践、教員の職能開発の視点を含めた理論的背景など多岐にわたる情報を得た。(4)中等学校の実験的取組の調査を行い、学校教育の革新的実践事例を教育の連続性の観点から検討し、初等学校の課題を見直した。とくに義務教育の学力保障の責任を幼児教育の場である保育学校で強く認識・実践していることを確認した。(5)2012年度の活動である招聘研究会の打ち合わせを行った。 3.本年度は、論文1篇、翻訳1篇を公表した。最終年度に刊行する成果報告書の内容と構成について検討し、連携研究者、研究協力者に執筆を依頼した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランス共和国における資料収集と観察・聞き取り調査を、平成23年度に一通り終えた。最終年度における報告書の作成に向けて、日仏の連携研究者、研究協力者に原稿執筆の依頼を済ませた。したがって、最終年度に向けて、研究の総括としての報告書の執筆・作成と最終的な成果公開の研究会を残すこととなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究の最終年度にあたるので、主としてこれまでの研究成果の集約と公表に専心する。これまでのフランス共和国における資料収集と観察・聞き取り調査によるフィールド調査の結果、及び、3年目と4年目にフランスより教育実践の関係者を招聘して日本で実施した研究会の結果を整理・分析・検討して、研究成果報告書を作成する。そのため、国内で1~2回の研究会と数回の連携研究者・研究協力者との会合を実施する。また、研究成果の総括・公表として、フランスより教育方法の研究者と実践者を招聘し、西九州大学の企画において研究会を開く。さらに、必要に応じて、国内の専門家(研究者)等の助言を求める。
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