2009 Fiscal Year Annual Research Report
インドシナ地域における降雨に起因する地すべりの発生機構に関する調査研究
Project/Area Number |
20404009
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大津 宏康 Kyoto University, 経営管理研究部, 教授 (40293881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 晴重 関西大学, 工学部, 教授 (70158880)
稲積 真哉 京都大学, 工学研究科, 助教 (90362459)
|
Keywords | 豪雨 / 斜面 / 不飽和浸透 |
Research Abstract |
現在の国内外での豪雨時の斜面崩壊に関する研究としては,降雨量(累積降雨を含む)を指標とした早期警戒体制の立案を目指した研究が数多く報告されている.しかし,ホートン地表流を分離しない場合には,斜面の安定性を評価する上では過大評価となることは言うまでもない.特に,インドシナ地域での降雨は「スコール」と呼ばれる時間降雨が数10mm~数100mmの極めて降雨強度が大きいことから,すべての降雨が地中に浸透するとは考えられないため,このホートン地表流を分離して評価することが極めて重要となる. このような観点から,起案者らはホートン地表流を上部3タンク,および不飽和浸透を5段直列タンクで表現するマルチタンクモデルを開発すると共に,カセサート大学(タイ)の実験フィールド(タイ・ナコンナヨック)において,起案者らの自主研究として,平成19年9月よりマルチタンクモデルに即した計測体制となる原位置モニタリング(項目:雨量強度・表面流・土壌水分量)を実施するとともに,豪雨時の斜面における水循環に関するマルチタンクモデルを用いたシミュレーションを実施した. 本年度の研究成果としては,まず原位置での計測結果において,降雨量と,計測器を用いて測定されたホートン地表流および地中への浸透量に関する水収支が高い精度で保障されることを確認した.また,ホートン地表流と地中への浸透量を分離した結果において,斜面の不安定化のトリガーとなる地中への浸透量は,降雨量の20~60%に相当することを明らかにした.さらに,マルチタンクモデルを用いたシミュレーション結果より,地中への浸透率は,降雨強度に依存して増加するという特性を明らかにした.この知見は,斜面の不安定化につながる土壌水分量の上昇メカニズムの解明につながるものであり,日本での異常気象時の交通遮断の限界値を設定する上で有効な知見となる.
|
Research Products
(3 results)