2009 Fiscal Year Annual Research Report
建築空間構成と民族芸術からみた中国山西商人の伝統的住居の特性に関する研究
Project/Area Number |
20404022
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
山之内 誠 Kobe Design University, デザイン学部, 准教授 (40330493)
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Keywords | 王家大院 / 山西省 / 四合院 / 排水システム |
Research Abstract |
3カ年の2年目にあたる平成21年度は、王家大院と周辺の他の大院との比較を通じて、王家大院の固有性及び他の大院との共通性の明確化を目的とし、8月と2月の2度にわたり山西省で現地調査を行った。主な調査としては、(1)喬家大院・渠家大院・曹家大院の全体・常家荘園の一部において平面実測を行ったほか、王家大院高家崖及び紅門堡の一部・喬家大院・渠家大院・曹家大院・常家荘園において、(2)排水設備の位置と敷地高低差の実測、(3)建築彫刻の内容と位置の記録、(4)王家大院周辺の静升村の古民家における風水装置の実態調査を実施した。 今年度の調査からは、(1)王家大院高家崖は正庁をもつ格式の高い四合院の主院を中心に据え、端部へいくほど格式が下がる求心的な構造をとるが、紅門堡では敷地内通路で区切られた各街区の内部に二次的に求心的構成が窺える程度で、他の大院にも高家崖のような求心性はみられない。このため、高家崖の求心的構成は特殊事例と考えられること、(2)内院から外院へ向かって一旦排水を集め、次いで各合院に外接する通路へ排出し、さらにその通路を水路として排水を集めて敷地外に排水するシステムは、他の大院にも共通のものであること、(3)王家大院が所在する静升村の古民家には、天地爺廟・土地廟・門神・吉星楼が数多く存在するが、王家大院の内部に見られるのは土地廟が大半で、天地爺廟と吉星楼はほとんど設けられておらず、また他の大院も王家大院とおおむね同様だが、土地廟の数自体がより少ないことなどが判明した。 以上の発見と考察を踏まえ、平成22年度は補足調査とまとめの作業を行う予定である。
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