2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20405007
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅見 崇比呂 信州大学, 理学部, 教授 (10222598)
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Keywords | 左右性 |
Research Abstract |
東南アジアに分布する樹上性巻貝マレイマイマイ属では、分類学的に互いに発生の左右極性が反転した二型が見つかることで知られてきたが、二型がどのような地理的分布をしているか、左巻だけ、右巻だけの単型集団が側所的に分布し、重複域で集団が二型的になっているだけなのか、あるいは二型が同所的に生息しているのか、は未知であった。本研究により、これら左右逆に発生する実像型と鏡像型の二型はほぼかならず集団内に共存していることを世界で初めて確証した。しかも、多くの集団で左右二型の頻度が1:1から有意にずれていることをつきとめた。分子系統学的解析により、左右二型が数段内に共存する左右二型の形質状態は祖先的であり、その左右二型の系統は、複数回出現していることを発見した。しかも派生的に、左右二型の系統から右巻に固定した系統が分岐進化していることを立証した。これら左右二型の共存機構を理解することを目的として、二型頻度の動態調査と行動実験を行った。これまでに5地点に設置した50m×50mの方形区で二型頻度を継続調査し、目視により死殻を採集した。本属カタツムリの主要な天敵は、巻貝専食ヘビ、げっ歯類、鳥類であると考えられる。巻貝専食ヘビは殻を壊さずに軟体部を引き抜いて食べる。だが、げっ歯類や鳥類は、殻を壊して巻貝を食べる。これまでの調査により、特に石灰岩地帯には、特徴的な形状に破損した殻が累積したところが多く見つかることが判明した。これらの累積地点の多くは、岩陰や洞穴のような場所にあり、哺乳類がカタツムリを捕獲して持ち帰り捕食した場所であると推定される。殻の破損パターンと捕食された左右二型頻度を分析するために、これらの地点で検出できる死殻をすべて採集した。
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Research Products
(3 results)