2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯雲霧林の林冠内植物の多様性と動態:気候変動モニタリングに向けたサイト構築
Project/Area Number |
20405008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
神崎 護 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (70183291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正利 千葉県立中央博物館, 環境科学研究科, 主席研究員 (20250144)
秋山 弘之 兵庫県立大学, 自然環境科学研究所, 准教授 (70211696)
大久保 達弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10176844)
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Keywords | 着生植物 / 熱帯山地林 / 熱帯雲霧林 / 寄生植物 / 多様柱インベントリー / 林冠 / 維管束植物 / コケ植物 |
Research Abstract |
タイ北部ドイインタノシ国立公園内標高1700mの中核プロットでの林冠部分の調査から,61属83種の維管束植物(うちシダ植物22種)と,新種4種(うち1種検討中)およびタイ新産種2種をふくむ95属100種以上のコケ植物を記録し,東南アジアの熱帯山地林で始めての直接観察による林冠植物のインベントリーデータを完備することができた.同プロットでの樹木群集約160種の記録に比較して,林冠植物の多様性もきわめて高いことが明らかとなった.また,コケ植物の多様性は世界的に見てもきわめて高いと思われる.これら林冠植物のハビタット分割を解析した結果,維管束植物では,林冠表層から樹幹にいたる垂直方向傾度上での位置と,コケ植物マットの在・不在によって成立する群集タイプが強く規定されているのに対し,コケ植物では宿主樹種による樹皮のテクスチャの違いによって強く規定されていることが明らかとなった. 標高傾度による林冠植物の多様性の比較のために,1700mの中核プロットに加えて,標高2300m地点と,標高1300m地点での調査を実施し,同定作業を現在継続中である.現在までの断片的な結果からは,種多様性は2300m地点のほうが1700m地点よりも低いが,コケのマットの被度,厚さはいずれも2300m地点のほうが高く,2300m地点にのみ分布する種も多いことが結論できそうである.1300m地点では,林冠植物の多様性はきわめて低く,雲霧帯下限よりも低い標高での林冠植物の省弱さはほぼ明らかとなった.
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