Research Abstract |
ヤーシ類の樹液とその採集法, さらに現在の利用の実態とを把握するために, 2008年7月2日から15日まで, および同年12月9日から19日までの2回, マレーシア国ボルネオ島のサラワク州で調査を行った. ニッパヤシ, サトウヤシについては花枝からの樹液採取に関する調査を行った. また, デンプン原料作物であるサゴヤシについてはバイオマス生産に関した継続調査の圃場設定をし, 同時に生育特性を調べた. 1. ニッパヤシ : 7月4-5, 8日と12月11-13目に, サラワク州クチン市郊外のサマラハン川河口近く, ニッパヤシが優先するマングローブ林内で調査した. ここでは, 現地の人によるニッパヤシからの樹液採取が行われており, その方法を調べ, また, 樹液の調査とサンプリングを行った. さらに, クチン市内で, ニッパヤシからの糖や塩, 葉を使った製品などの利用について調べた. 2. サトウヤシ : 7月6-7日に,サラワク州ルポッアントゥで,イバン族によるサトウヤシの樹液採取の方法と樹液を調べ,サンプリングした. 3. サゴヤシ : 7月9-12日, 12月14-18日に, サラワク州ムカにおいてメラナウ族の農家が管理するサゴ農園内で, 継続調査のための設定を行った. また, 葉の抽出速度を測定し, さらに, サゴ樹を伐採してデンプン蓄積に関連する内部組織を調べた. 1, 2の調査から, 花枝から樹液を採取するにあたって, 花枝を切断する前に行われる処理は, 具体的な手順は異なるものの, 栽培ヤシだけでなく, ニッパヤシのように野生ヤシを利用する場合にも一般的に行われていることが理解できた. ニッパヤシの採液に関しては, 塩分濃度も測定し, カリ含量が高いことがわかった.
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