2009 Fiscal Year Annual Research Report
媒介昆虫と病原菌の遺伝的変異と病原性の変異からナラ枯れの起源に迫る
Project/Area Number |
20405027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 直人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90303255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱口 京子 森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (60343795)
後藤 秀章 森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (10353682)
升屋 勇人 森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
江崎 功二郎 石川県林業試験場, 森林環境部, 專間研究員 (30450810)
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Keywords | ナラ枯れ / カシノナガキクイムシ / Platypus quercirorus / 遺伝的変異 / フェロモン / 微量成分 / Raffaelea quercivora / 病原性 |
Research Abstract |
カシノナガキクイムシ(本種)に含まれるすべての成分を含む混合物を使って、誘引実験を行った。その結果、集合フェロモンの主成分であるケルキボールのみでは、対照区に比べ10-20倍のが採集されたのに対し、フェロモン成分をすべて混ぜると対照区と差がなくなった。これらの結果から、フェロモンの微量成分には、忌避効果をもつ成分が含まれているものと考えられた。そこでケルキボールに各成分を加えて誘引実験をおこなった。1成分を加えた場合、cis-piperitol追加で捕獲数が有意に増加した。2成分を加えた場合、捕獲数が減少し対照区と差が見られなくなった。これらの結果から、微量成分は単独では忌避効果を示さないが、2成分以上が混合することによって忌避効果を示したことから、野外では、過密を防ぐための抗集合フェロモンとして作用しているものと考えられた。コナラ丸太とミズナラ苗木に、病原力の異なる6系統のRaffaelea quercivoraを接種し、変色域の長さを測定した。その結果、病原性の指標となる変色域の長さは、丸太と苗木で有意な正の相関が認められた。これらの結果から、病原力の検定に丸太を使うことが可能となった。2010年10月にベトナム北部で採集を行った。 Lithocarpus属10本をあらかじめ現地の伐採会社に依頼して伐倒した。1本の伐倒木から、カシノナガキクイムシの日本海型と太平洋型の両方を採集した。虫体と坑道から分離した菌は、ベトナム森林科学研究所で培養した後、日本に輸出した。升屋が培養保存し、Raffaelea属の糸状菌は同定作業中である。
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Research Products
(9 results)