2010 Fiscal Year Annual Research Report
媒介昆虫と病原菌の遺伝的変異と病原性の変異からナラ枯れの起源に迫る
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20405027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 直人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90303255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 秀章 森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (10353682)
升屋 勇人 森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
江崎 功二郎 石川県林業試験場, 森林環境部, 専門研究員 (30450810)
濱口 京子 森林総合研究所, 関西支所, 主任研究員 (60343795)
楠本 大 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (80540608)
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Keywords | カシノナガキクイムシ / カシノナガキクイムシ / Platypus quercivorus / 遺伝的変異 / フェロモン / 微量成分 / Raffaelea quercivora / 病原性 |
Research Abstract |
タイとニューギニアでカシノナガキクイムシの採集を行ったが、ニューギニアでは採集することができなかった。コナラ丸太とミズナラ丸太に、病原力の異なる3系統の日本産Raffaelea quercivoraと、台湾、ベトナム、タイ、インドネシア産のRaffaelea quercivoraを接種し、変色域の長さを測定した。その結果、コナラでは、台湾・タイ・ベトナムから採集したRaffaelea quercivoraも、日本の強病原性の系統とほぼ同等の病原力を有することが明らかにされた。これらの結果から、外国でナラ枯れが発生していない原因は、少なくとも菌が病原性を有していないからではないことが明らかにされた。外国のブナ科樹種は日本のブナ科樹種に比べて、Raffaelea quercivoraに対する抵抗性が強い可能性が示唆された。一方、ミズナラ丸太では、系統間の差が明瞭に現れなかった。その可能性としては、コナラに比べると、ミズナラの方が概して抵抗性が弱く菌に対する過剰防御反応が大きいこと、あるいは、接種時期が野外でカシノナガキクイムシが集中加害する時期よりも遅かったことから、季節による反応の違いがミズナラの場合に大きい可能性が考えられた。これまでに、カシノナガキクイムシの記録がある国から、本研究期間内で、インドとニューギニアを除くすべての国からカシノナガキクイムシとRaffaelea quercivoraを採集することができた。また、これまで、幹録であったベトナムでは、北部と南部の2カ所から、カシノナガキクイムシを採集することができた。とくに、北部では、日本の九州南部と同様に、太平洋型と日本海型の両方のタイプが1カ所から採集することができた。
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Research Products
(7 results)