2009 Fiscal Year Annual Research Report
総合モデルによるメコンデルタ運河網における畜産廃棄物汚染メカニズムの解明と対策
Project/Area Number |
20405044
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
久保 成隆 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (40134506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 壽彦 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70015121)
高田 秀重 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (70187970)
林谷 秀樹 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (30180988)
多羅尾 光徳 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (60282802)
渡邉 泉 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (30302912)
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Keywords | メコンデルタ / サルモネラ / 大腸菌 / 指標微生物 / 抗生物質 / マーカー物質 / 重金属汚染 / 種特異蓄積 |
Research Abstract |
本年度は、各水質項目の分析と水路網での水質シミュレーションモデルの開発に重点を置いた。第一グループでは、聞き取り調査と飼料採取により、家畜由来の抗生物質汚染の現状を明らかにする基礎情報を収集すること試みた。カントー周辺の15箇所の養豚農家を調査したところ飼料の基本組成には問題がなかった。排せつ物は、メタン生産、あるいは養殖魚の餌として処理されている例が多く、地域の条件に適合する資源の有効利用が見られた。主要投与抗生物質はAmpicillin、Amoxicillin、Tylosinの3種であった。また、統計調査により、家畜の頭数は年々増加しており、カントー地方では、北部の豚の頭数が多いことが明らかとなった。 第二グループでは、抗生物質汚染に関しては、メコン川本流とカントー市内運河にて定点経時観測・採水を行い、水中の抗生物質の測定を行った。本流の抗生物質濃度は大きな濃度変化は認められず、潮汐の影響は小さいと考えられた。一方、市内運河では上げ潮の時に濃度が下り、下げ潮時に濃度が上がる傾向が認められ、潮汐の影響が示唆された。重金属汚染に関しては、河川・運河より水試料および生物試料(ブタ筋肉・肝臓など)を採取した。また、水試料に関しては微量元素レベルを測定した。測定した元素は計27種である。大腸菌・サルモネラ菌汚染に関しては、環境試料・糞便試料から大腸菌を分離した。確定試験を行い、大腸菌と判定されたものの遺伝子解析に着手した。また、平成20年10月から平成22年1月までの15ヶ月間、カンドー市内の河川など9ヶ所において毎月1-3回定期的に採水し、サルモネラ菌数、一般総生菌数、大腸菌群数および大腸菌数を測定した。その結果、一般総生菌数、大腸菌群数および大腸菌数は河川の最高水位の時に比べ最低水位の時に菌数が10-100倍高くなることが判明した。また、サルモネラは最低水位の時に養豚場などの汚水が流れ込む河川の地点を中心に検出された。 第三グループでは、カントー省における完全な水路網情報に基づく水質シミュレーションモデルを完成させた。一方、幹線・支線運河の地理情報から毛細運河を自動発生させるプログラムを開発して、毛細運河に関する情報の乏しい広域デルタにも水質シミュレーションモデルを適用することを可能とした。
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Research Products
(1 results)