2010 Fiscal Year Annual Research Report
サゴヤシ利用の伝統的農村が水稲栽培農村として持続できる農村変容要因分析
Project/Area Number |
20405046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西村 美彦 琉球大学, 観光産業科学部, 教授 (10301219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板垣 啓四郎 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (20130304)
角田 宇子 亜細亜大学, 国際関係学部, 教授 (20296396)
山元 由徳 高知大学, 農学部, 教授 (00093956)
江原 宏 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10232969)
西川 芳昭 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80290641)
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Keywords | 農村開発 / 農村変容 / 技術移転 / 水田持続性 / 民族学 / トラキ人 / サゴヤシ / 南東スラウェシ州 |
Research Abstract |
サゴヤシ利用の農業の変容をインドネシア南東スラウェシ州の伝統的農村を事例として調査してきた。対象地には先住民のトラキ人がおり、ブギス、ジャワ、バリ人が移住者として住み始めた。移住者は水稲栽培技術を有しており、定住地に水田を広げている。1991年にJICAによる農業開発協力プロジェクトが導入され、水稲栽培が8農村で改良農業として導入された。プロジェクト終了後から約15年後の2008年からプロジェクトインパクトとして水田耕作の持続性を調べ、この地域の農業・農村の変容を調べた。その結果、プロジェクトで実施した水稲栽培は8村中6村で継続して実施していた。2村については実施していなかった。そこで元から継続している村、していない村、初めて導入されて継続している村の3村を抽出し、詳細な農村調査と資源調査を行った。水稲栽培が元からあった村では水田拡大も見られ、水利組合も必要に応じ活動している。プロジェクトの施設は現在でも有効に使用されているという結果を得た。また、新規に水田を取り入れ、現在も継続、拡大している村では先住民に移住民のブギス人が加わっていた。また、すでに水田の跡がなかった村では畑作栽培、永年作物栽培が商業的農業として行われており、主食のサゴ澱粉、コメは市場から買っていた。この結果から、サゴの利用は継続しているがコメ消費のウェイトが大きくなってきている。先住民が水田耕作を継続できる条件としては、経済性は無論のこと、農民の水稲に対する興味とニーズ及び継続性には移住民のような稲作技術を知っている人の存在が必要であると要約できた。また、農民は初期投資が少なく、栽培技術が複雑でない畑作、永年作物が有利となれば水稲に興味は持たず、換金作物栽培を行うことが分かった。以前、村で個々に行っていた伝統的サゴ農業は専門化が進み、澱粉抽出を行う専門の数グループあり、市場に出荷していた。また、陸稲は依然水田以外では栽培される重要な作物となっているが、ほとんど自給用で、水稲が商品作物となっている。このように伝統的農業から水稲栽培への移行には栽培としての民族的な興味、市場での経済性、主食の変化によるところが大きいと結論付けられた。
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[Presentation] Sago industry and its market prospect2010
Author(s)
江原宏
Organizer
International Seminar on Sago and Spices for Food Security (Sail Banda 2010, Government of Maluku, Indonesia)
Place of Presentation
Swiss-bel Hotel International in Ambon, Indonesia(招待講演)
Year and Date
2010-07-28
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