2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗HIV多剤併用療法とHIV感染者の性行動-タイ東北部における追跡調査
Project/Area Number |
20406017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 廉毅 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70178341)
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Keywords | HIV感染者 / AIDS患者 / 抗HIV多剤併用療法 / 性行動 / カウンセリング / タイ国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多数のHIV感染者を抱えるタイ国を調査地として抗HIV多剤併用療法を受ける者を対象とするコホート群を立ち上げ、(1)コホート群を追跡調査することにより、症状改善による生活習慣や性行動の変化、性行動に影響を与える要因を明らかにし、(2)これらに対応した生活支援や感染予防のあり方を検討することである。なお、本研究では倫理的配慮に基づいて、対照群(非治療群)は設定しない。当初設定したコホート群(治療群)を追跡調査することにより、属性や社会経済的要因、カウンセリングの有無、健康状態の変化、性行動の変化、安全な性行動の頻度などの相互の関連を中心に分析する。なお、本研究を行うにあたってタイ国保健省の倫理委員会と東京大学医学系研究科の倫理委員会より承認を得た。 2009年~2010年に実施した、タイ国東北部コンケン県において抗HIV多剤併用療法を受けている18歳以上の者を対象にしたベースライン調査(調査実施者数 337人)に引き続いて、約6ヵ月~1年後の状況を質問票およびインタビューにより調査した。調査項目は、(1)調査時点における対象者の主観的健康感や他の疾病の罹患状況、(2)HIV感染に係わる症状や検査値、(3)抗HIV多剤併用療法の状況および薬剤の副作用等、ならびに(4)ベースライン調査以降の性行為の頻度、性行為の相手、コンドーム使用状況などである。この追跡調査結果について分析を行い、以下の結果を得ている。 2010~2011年の調査では、前回調査者のうち、233人から回答を得た(追跡回収率69%)。前回の調査時に比して、性行動および安全でない性行動を行う者の割合がわずかに増加していた。一方、全体としては81%の者が安全な性行動をとっていた。また、9割以上の者が医療機関でカウンセリングを受け、コンドームの常時使用を勧められていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査協力機関と対象者の人数を確保するための研究協力体制の構築に時間を要したため、ベースライン調査の実施が当初の計画より半年程度遅れたが、ベースライン調査は当初計画した内容で終了した。ベースライン調査の結果の分析から、2回目の調査(第一次追跡調査)の内容について修正を加えたため、同調査の実施が3ヶ月程度遅れることになったが、2回目の調査(第一次追跡調査)についてもすでに終了した。当初計画した3回目の調査(第二次追跡調査)についても研究期間内に終了できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
計3回の縦断的調査結果の詳細な分析から、タイ国の抗HIV 多剤併用療法(HAART)を受けるHIV 感染者における性行動の頻度の変化や安全な性行為の関連要因について分析を行う。また、その結果に基づいて、主として抗HIV 多剤併用療法(HAART)が普及しつつある途上国におけるHIV 感染者に対する生活支援や感染予防の具体的な方策を検討し、提言につなげる。
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Research Products
(2 results)