2009 Fiscal Year Annual Research Report
極限高地生息動物の肺循環特性-Rhoキナーゼを中心とした分子生物学的研究
Project/Area Number |
20406021
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
石崎 武志 University of Fukui, 医学部, 教授 (80151364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 茂 福井大学, ライフサイエンス支援センター, 准教授 (00092809)
酒井 秋男 松本大学, 人間健康学部, 教授 (70020758)
小泉 知展 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (20273097)
栂 博久 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90142554)
飴嶋 慎吾 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (60262614)
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Keywords | 高地適応動物 / ヤク / 牛 / 肺高血圧症 / 右心カテーテル法 / Rhoキナーゼ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き高地生息の2歳、雄ヤクと雄牛それぞれ1匹ずつを対象とし、海抜3200mの野外で肺循環測定実験を行った。ベースラインの肺動脈圧を測定後、Rhoキナーゼ抑制剤(F a sudil)60mgを20ml生理食塩水に溶かし10mg/分の流速で末梢静脈から投与した。5分、15分、30分時の平均肺動脈圧(mPAP)は36.9mmHg、36.1mmHg、30.4mmHg、26.7mmHgと軽度のmPAPの低下を認めた。一方、雄牛では106.5mmHg、36.2mmHg、42.9mmHg、47.0mmHgと急激なmPAPの減少をきたした。この結果は昨年度のそれと同様であった。実験終了後、肺組織および心組織を取り出しRhoキナーゼ系の発現検索用とした。中間結果として、高地適応動物であるヤクは低酸素環境にもかかわらず、肺高血圧症を生じず、そして、Rhoキナーゼ系は肺循環系では働いていないという仮説を実証するものである。一方、高地非適応動物の牛は著名な肺高血圧症を呈し、その機序にはRhoキナーゼ系の発現が関与している。 海抜3000m以上の天山山系に居住しているキルギス人で肺高血圧症を示した20名を対象にF a sudil、30mgを投与し、前後での肺動脈圧を検討すると32±3.1mmHgから30分後には25.4±2.5mmHgへとmPAPは有意に低下した。体動脈圧には影響を与えなかった。呼気中のNO値は10.7±5.1ppbから13.9±6.6と増加傾向を示した。この結果は高地に適応できないヒトでもRhoキナーゼ系の関与する肺高血圧症を呈することを示した。
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Research Products
(2 results)