2010 Fiscal Year Annual Research Report
極限高地生息動物の肺循環特性-Phoキナーゼを中心とした分子生物学的研究-
Project/Area Number |
20406021
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
石崎 武志 福井大学, 医学部, 教授 (80151364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松川 茂 福井大学, ライフサイエンス支援センター, 准教授 (00092809)
酒井 秋男 松本大学, 人間健康学部, 教授 (70020758)
小泉 知展 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (20273097)
栂 博久 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90142554)
飴嶋 慎吾 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (60262614)
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Keywords | 高地適応動物 / ヤク / 牛 / 肺高血圧症 / 肺小動脈 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き直接現地に赴き海抜3600mの高地でヤクを確保し高地生息の2歳、雄ヤクと雄牛それぞれ1匹ずつを対象とし、海抜3200mの野外で肺循環測定実験を行い、実験数を増やそうと試みたが、測定機器につなげる変圧器の不具合のため正確なデータ収集はできなかった。そこで、ヤクと牛(低地で出生し、家畜として高地に運ばれ生育しているもの)との肺組織を入手し、組織学的検討を行った。前者では細気管支に並走する肺小動脈は内膜・中膜・外膜すべてにわたり肥厚は全く認められなかった。一方、後者では同じサイズの肺小動脈中膜・外膜の均等な全周性肥厚と内膜のいびつな肥厚とを認めた。なお、肺小動脈内腔には血栓形成もなく、肺胞壁自体の肥厚等の変化を認めなかった。 また、同時に検索した高地生息適応動物のナキウサギ肺でも肺小動脈壁はまったく肥厚を認めなかった。参考に肺組織を検索した高地生息キルギス人(2名)では、慢性高山病での死亡例では牛と同様、肺小動脈中膜・外膜の均等な全周性肥厚と内膜のいびつな肥厚とを認め、慢性高山病ではなく交通事故での死亡例1ではヤクと同様に肺小動脈壁肥厚を認めなかった。 以上、総合すると、海抜3000m以上の高地に長期間生息している動物も人も適応例は肺動脈肥厚を認めず、適応しがたい動物も人も著しい肺動脈肥厚を呈しているという結果である。高地適応非肺高血圧動物・人では、前年度までの結果の肺動脈系ではRho-kinaze系が不活発であるという結果を裏づけるものである。
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