2008 Fiscal Year Annual Research Report
美味しさを感じる神経機構に対する成長ホルモンの影響
Project/Area Number |
20500187
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野上 晴雄 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30119838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 節二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70136216)
首藤 文洋 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10326837)
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Keywords | 味覚 / 成長ホルモン / 成長ホルモン受容体 / 運動 / 脳 |
Research Abstract |
本研究では、運動負荷による生理的な脳内成長ホルモン(GH)系の変化が味覚刺激に対する脳の神経活動や味覚嗜好にどのような影響を与えるかを調べることを目的として本年度は以下の実験を行った。 1)脳内GHおよびGH受容体mRNA発現を定量的に調べ、GHは視床下部、海馬に多くの発現を認めたが、GH受容体は特に海馬に多いものの、前頭皮質、視床下部、小脳、脳幹、脊髄にも発現が認められた。発現しているGHmRNAについて分子生物学的検討を加えた結果、脳内のGHmRNAは下垂体で産生されるものと同一であったが、GH受容体はこれまで知られている4種類の第一エクソン変異mRNA(V1-V4)のうち脳ではVIがほとんどであり、海馬でのみV1に加えてV4の発現がみられた。GH受容体は細胞膜受容体(long form)と、細胞内領域を欠き血中に放出されるGH結合タンパク(short form)の2種類のmRNAが単一の遺伝子から作られるが、これら2種類のmRNAは調べた脳内の全ての領域に検出された。2)ラットを非運動群、自発運動群、負荷運動群に分け、各々異なる強度の運動を4週間行った。運動終了24時間後に動物を断頭屠殺し下垂体前葉、海馬、扁桃体、視床下部、前頭皮質、脳幹、脊髄の諸領域を切り出し、定量的PCR法によりGH,GH受容体mRNAレベルを測定した。その結果、海馬で運動強度の上昇に伴う発現の低下、前頭皮質では対照的に増加が見られた。GHmRNAも同様に運動に伴い、前頭皮質での増加、海馬での減少が認められた。今後同様の実験を行い今回得られた結果の再現性を確認すると共に、このような運動とGH系の変化が味覚の嗜好に与える影響を検討する。
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