2010 Fiscal Year Annual Research Report
美味しさを感じる神経機構に対する成長ホルモンの影響
Project/Area Number |
20500187
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野上 晴雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30119838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 節二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70136216)
首藤 文洋 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10326837)
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Keywords | 甘味嗜好 / 成長ホルモン / 成長ホルモン受容体 / 運動 / ラット / 下垂体 |
Research Abstract |
本年度は21年度に引き続き脳内および下垂体成長ホルモン(GH)受容体mRNA発現について定量的な検討を加えた。また、GH受容体mRNAのV1,V4の第1エクソンバリアント、およびlong form mRNAとshort form mRNAの発現比率を定量し、これらの結果を昨年度までに得られたデータとともに発表した(NogamiらGrowth Hormone and IGF Research,2010)。また、個体の発達過程で最も顕著なGH受容体発現がみられたのが胎生期の下垂体であったことから、胎生期の下垂体細胞の発達においてGHが何らかの働きを担っている可能性が考えられた。そこで、GH受容体を発現する幼弱GH細胞の実験モデルと考えられるMtT/E細胞を用いてGH受容体遺伝子発現の制御機構、およびGH遺伝子発現に対するGHの作用などについて検討を加えた。 本年度はまた、成長ホルモン投与がラットの甘味嗜好にどのような影響を与えるかについて以下のような実験を行った。Sprague-Dawley系オスラット8週令を2グループに分け、体重測定と飲水量の測定を1週間行った。この間1日のみ2%ショ糖液を飲水として与え、飲量を測定した。2週目に1グループを実験群とし0.2mg/kg体重のヒツジGHを他方を対照群としその溶媒のみを1日1回腹腔内投与した。1週間投与を続け体重と飲水量を測定した。また、この間1日のみ2%ショ糖液を飲水として与え甘味嗜好に対するGHの影響を検討した。両群の体重増加率はGH投与実験以前は差がなかったが、GH投与期間中の体重増加は対照群で43.4±2.3gであるのに対し、実験群では51.1±3.0gと優位に増加した。ショ糖液の飲量は対照群294±62ml/体重/日に対して実験群400±65ml/体重/日と増加したが、これは統計的に有意な差ではなく、GHの甘味嗜好に対する影響評価のためには今後個体数を増やして実験を追加する必要があると思われる。
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