2008 Fiscal Year Annual Research Report
異常TDP-43特異抗体によるグアム島ALSの本体と運動ニューロン変性機序の解明
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20500330
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
橋本 智代 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70425685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 清光 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (00134958)
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Keywords | TDP-43 / 筋萎縮性側索硬化症 / パーキンソン認知症 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
グアム島の筋萎縮性側索硬化症(ALS)が同時期に同じグアム島で多発したパーキンソン認知症(PDC)と同一の疾患であるといわれてきた。しかし、神経原線維変化による評価では異なる疾患であることが報告されており、疾患の異同については今後も更なる検討が必要である。本研究目的は、神経変性疾患であるグアム島ALSとPDCとの疾患の異同を明確にすることである。この異同を新規開発された異常リン酸化TDP-43抗体で解析することを研究目標の1つとする。本年度、グアム島PDC、グアム島ALS、PDC-ALS合併、日本人孤発性ALS、前頭側頭葉型認知症、グアム島人対照、日本人対照を異常リン酸化TDP-43抗体を用いて生化学的、免疫組織化学的に解析を行った。ウエスタンブロティングによるタンパク質の発現を検索した結果、グアム島PDCでは、検索した症例全てで異常リン酸化TDP-43が検出されたのに対し、グアム島ALSでは検出されない症例もみられた。孤発性ALSでは、グアム島ALSと同様に検出される症例とされない症例がみられた。免疫組織化学的解析では、前頭葉、運動野、側頭葉、大脳基底核、中脳、脊髄で異常リン酸化TDP-43の分布を検索中である。これまでのデータでは、グアム島PDCでは大脳の蓄積が大量である一方で、グアム島ALSでの大脳における蓄積は少量であった。日本人孤発性ALSとグアム島ALSとの差はみられなかった。この結果は、グアム島のALSとPDC疾患が異なる疾患である可能性と同時に、グアム島ALSと孤発性ALSは同じ疾患である可能性を示した。その他、異常リン酸化TDP-43抗体の交差反応を含めた染色精度を評価することもできた。一方、動物実験では、グアム島PDCに関係するマグネシウム欠乏ラット、孤発性ALSに関係する顔面神経引き抜きラットでリン酸化TDP-43抗体を用いた免疫組織学的方法を検索中である。
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Research Products
(2 results)