2008 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞における脂質代謝が仲介する脳病変制御および修復機構の解明
Project/Area Number |
20500347
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
宋 時栄 Tokushima Bunri University, 神経科学研究所, 教授 (00399693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 有弘 国立長寿医療センター研究所, 再生再建医学研究部, 部長 (00208456)
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Keywords | グリア細胞 / astrocyte / lipidosin / 脂質代謝 / 脱髄 / 髄鞘再生 |
Research Abstract |
1.神経回路の発達・老化過程におけるlipidosinの役割の組織学的解析 正常ラット脳でのlipidosin発現の生後発達、生後2年超までのlipidosin KOマウス脳の変化を組織学的に検討した。小脳ではlipidosin発現は出生直後から増加し、4週頃にプラトーに達するというWesternblot分析の結果に見合って、lipidosin陽性astrocyteは漸増し、生後7日では散在性の陽性細胞の細胞体に限局した陽性所見が認められるのみだが、次第に繊細なグリア突起にも局在するようになる。 Lipidosin KOマウス脳には、生後2年超まで目立った肉眼的、組織学的変化が認められなかった。加齢に伴う変化として、KOマウスでは骨格筋のrimmed vacuoleの増加が対照動物に比べて起こりやすいことが示唆された。この変化は、筋崩壊産物がリソソーム内で自己貪食されていると考えられており、こうした加齢に伴って増加する変化をlipidosinが抑制している可能性が考えられた。 2.脳障害時におけるlipidosinの役割の病理組織学的、生化学的解析 GFAPプロモーター下流でlipidosin遺伝子を発現するlipidosinトランスジェニックマウスを作製したが、出生した複数のマウスいずれでも導入した外来性lipidosinの高発現は認められなかった。そこでlipidosin KOマウスについてのみ、cuprizone投与による脱髄後の髄鞘再生過程を組織学的に検討した。KOマウスでは対照動物に比べて髄鞘再生の遅延傾向を示し、時に病巣部に副腎白質ジストロフィー症の副腎で認められるようなコレステロール結晶と類似の沈着物が認められる。この脱髄巣には、正常脳では検出されないコレステロールエステルが認められることを薄層クロマトグラフィーで確認し、KOマウスと対照動物でその量に差があるかどうかを検討している。
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