2009 Fiscal Year Annual Research Report
グリア細胞における脂質代謝が仲介する脳病変制御および修復機構の解明
Project/Area Number |
20500347
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
宋 時栄 Tokushima Bunri University, 神経科学研究所, 教授 (00399693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 有弘 国立長寿医療センター研究所, 再生再建医学研究部, 部長 (00208456)
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Keywords | グリア細胞 / astrocyte / lipidosin / 脂質代謝 / 脱髄 / 髄鞘再生 / Lanosterol 14α-demethylase / Stearoyl-CoA desaturase |
Research Abstract |
1.脳におけるlanosterol 14α-demethylase(LDM)の発現と髄鞘形成・再生過程での発現変化 LDMは真核生物におけるステロール合成経路に必須である。ウェスタンブロットの結果、LDMは成熟ラット肝臓や副腎、精巣、卵巣、小腸での発現は強く、大脳皮質、小脳、坐骨神経では中等度の発現が認められた。抗LDM抗体を用いたラット脳での免疫組織化学的検索によって、LDM免疫活性はオリゴデンドログリアに局在し、出生直後の発現は弱く、P14まで次第に増加した後、減少していった。生後各週齢のラット大脳の免疫組織学的解析では、この所見と相関する所見が認められた。またcuprizone誘発脱髄後の髄鞘再生モデルマウス脳では、脱髄の進行に伴う白質でのLDM免疫活性の減少と髄鞘再生過程での増大が観察された。これらの結果は、LDMと髄鞘形成の関わりを示唆する。 2.Stearoyl-CoA desaturase(SCD)アイソフォームの脳内発現および実験的脱髄、再ミエリン化過程での発現変化の解析 SCDは、ステアリン酸やパルミチン酸などの飽和脂肪酸からオレイン酸やパルミトレイン酸などの一価不飽和脂肪酸の生成に関わる酵素である。RT-PCRの結果、マウス大脳では、SCD1とSCD2が主に発現している事がわかった。SCD免疫活性は神経細胞およびオリゴデンドログリアに発現していることが見いだされた。Cuprizone誘発脱髄後の髄鞘再生モデルマウス脳では脱髄の進行時期に顕著なSCD免疫活性の増大が大脳皮質、海馬、白質で認められた。SCD免疫活性の増大は、総頸動脈の一時的クリッピングによってスナネズミの脳に虚血性の負荷を加えた場合にも認められ、SCDの応答は多様な脳への傷害刺激に対して起こるものと考えられた。
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Research Products
(2 results)