2008 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー光刺激法を利用したヒゲ入力遮断後のシナプス結合種特異的可塑性の解析
Project/Area Number |
20500358
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 文隆 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (00202044)
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Keywords | バレル皮質 / 可塑性 / スパイクタイミング依存性 / 抑制性細胞 / 臨界期 / 視床-皮質投射 / 4層-2 / 3層 結合 / マルチ電極記録 |
Research Abstract |
ホ乳類の感覚皮質には、発達期の一時期に入力依存性にシナプスの伝達効率を変え得る臨界期が存在し、遺伝的な枠組みの中で形成された神経回路は、臨界期中の神経活動に従ってさらに精緻に仕上げられていくことが知られている。このような可塑性発現のメカニズムは、学習や記憶の素過程と多くを共有していると考えられており、その解明は社会的にも大きな期待が寄せられているが、未だに不明な点が多い。本研究では、感覚遮断に伴う受容野変化の基盤となっているシナプス結合の変化を、回路内の結合種ごとに明確にすることを目的としている。 これまでに、バレル皮質においては感覚遮断に伴う受容野の変化は生後14日以降に始まること、またこれは皮質4層-2/3層間のシナプス結合の変化によって担われている可能性があること、さらにこのシナプス結合はシナプス前細胞と後細胞の発火タイミングによって可塑性の方向が決まる、スパイクタイミング依存性があること、また抑制性細胞が関与している可能性があることなどが示唆されてきたが、どういうメカニズムで臨界期が始まるのかについてはほとんど不明であった。我々は視床一皮質投射において、興奮性細胞と抑制性細胞では抑制性細胞のほうが潜時が短いことを見出した。これは、投射先細胞種に依存して視床皮質投射線維の伝導速度が異なることによるものだった。また、この潜時差により、抑制性細胞が4層細胞には興奮後、2/3層の細胞には興奮前にフィードフォワード抑制をかけることにより発火タイミングを調節していることが明らかとなった。さらにGABA拮抗剤により抑制を解除すると、4層、2/3層細胞の発火タイミングが崩壊することがわかった。これは可塑性開始のメカニズムの解明に繋がる極めて重要な発見である。
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