2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋衛星細胞活性化とMyoDファミリー発現を指標とした至適運動負荷量の設定
Project/Area Number |
20500441
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山崎 俊明 Kanazawa University, 保健学系, 教授 (00220319)
|
Keywords | 筋衛星細胞 / MyoDファミリー / 運動負荷量 / 骨格筋 |
Research Abstract |
本年度は運動負荷後の筋特異的遺伝子発現の継時的変化を調べた。具体的には前年度確認した、運動負荷強度の違いによる骨格筋衛星細胞活性化およびMyoDファミリー発現の結果に基づき、従来の報告よりも低強度な単回運動における影響について、MyoD、myogenin mRNA、MHC-1、MHC-2a mRNAを指標として、運動負荷後24、48、72および96時間後に分析した。Wistar系雄性ラットを対象とした。運動は小動物用トレッドミルで16度下り坂、24m/minにて30分間連続走行した。運動を実施しない対照群(CON)と運動実施24(P24)、48(P48)、72(P72)、96(P96)時間後に両側ヒラメ筋を採取する計5群とした。その際、採血し筋損傷の指標として血漿クレアチンキナーゼ(CK)を測定した。ヒラメ筋右側は凍結切片を作成しHE染色による組織学的分析を、左側は総mRNAを抽出し逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を用いてMyoD、myogenin、MHC-1、MHC-2a mRNAを定量した。 結果、CKはCONとP24、P96間で、またP48とP96間で有意差を認めた。HE染色像においてCONでは見られないマクロファージの浸潤像や小径の筋線維集合像を運動群で確認した。MyoD、MHC-1発現量は変化なく、myogenin発現量はP24でCONに対して約1.7倍に、MHC-2a発現量はP24、P48、P96でCONに対して約1.8倍に増加したが群間に有意差はなかった。単回の低強度運動後、早期では筋衛星細胞や筋特異的タンパク質転写に有意な活性化は認められず、要因として筋損傷程度や運動時間が考えられた。また、活性化には高強度または長時間の運動が必要であり、臨床では過剰な筋損傷に配慮し、低強度の運動から始め運動頻度、時間を漸増することが重要と考えられた。 来年度は、2年間の正常筋における結果を踏まえ、まず廃用性萎縮筋に対する(運動負荷を加えない)荷重刺激の影響を分析する。その後、臨床場面を考慮した歩行レベルの負荷で至適運動負荷量を検討する予定である。
|
Research Products
(2 results)