2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋衛星細胞活性化とMyoDファミリー発現を指標とした至適運動負荷量の設定
Project/Area Number |
20500441
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山崎 俊明 金沢大学, 保健学系, 教授 (00220319)
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Keywords | 筋衛星細胞 / MyoDファミリー / 運動負荷量 / 骨格筋 |
Research Abstract |
本年度は、過去2年間の正常筋における結果を踏まえ、廃用性萎縮筋に対する(運動負荷を加えない)荷重刺激の影響を分析した。Wistar系雄性ラットを用い7週齢及び2週間通常飼育するコントロール群(CON1、CON14)と実験群に分類した。実験群は7日間の後肢懸垂を実施後さらに1日あるいは7日間、1)後肢懸垂群(HS8、HS14)、2)毎日1時間荷重群(WB8、WB14)、3)通常飼育群(RL8、RL14)に分類した。体重測定後麻酔下で心切開による放血致死により血液成分を極力取り除き両側ヒラメ筋を採取した。右側ヒラメ筋は筋湿重量を測定後、凍結横断切片を作成してHE染色を行った。染色像はImage Jを用いて各サンプル200線維の筋線維横断面積を測定した。また左側ヒラメ筋はグアニジン-セシウム超遠心法による総RNA抽出後、定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)を行った。目的遺伝子は機械的刺激後に分泌され細胞増殖促進作用のあるMGFと筋特異的転写因子の一つであるMyoDを用い、MGFは機械的刺激量、MyoDは筋衛星細胞活性化の指標とした。結果、筋湿重量は8日目でHS8と比較してRL8のみ、また14日目でHS14と比較してWB14とRL14が有意に大きく、筋横断面積は14日目ではHS14と比較してWBI4とRL14が有意に大きかった。MGF発現量は8日目でRL8がHS8やWB8と比べて有意に大きく、14日目ではHS14に対してRL14が大きかったが有意差はなかった。MyoD発現量は8日目でHS8とWB8は小さい値を示したが、RL8は他の群と比較して有意に大きかった。 筋湿重量及び筋横断面積から荷重刺激は廃用性筋萎縮の進行を抑制したが、反応は筋全体で一様ではなく長軸部位(近位・筋腹中央部・遠位)により反応が異なることが新たに判明した。廃用性萎縮筋では荷重刺激により微細な筋損傷が生じ、効果のある運動許容範囲が狭いことが示唆された。上記結果を踏まえ、来年度は荷重刺激より負荷量が多い歩行刺激による影響を分析する予定である。
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Research Products
(3 results)