2008 Fiscal Year Annual Research Report
楽器演奏による長期的訓練が指の独立的運動機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
20500504
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 博 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (60161535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 朋子 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (50433412)
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Keywords | 指 / 独立性 / 運動機能 / 高次脳機能 / 長期訓練 / 楽器 |
Research Abstract |
本研究では3年間でピアニストとバイオリニストおよび非音楽家(一般人)を対象に、左右の手指の長期的運動・感覚訓練がもたらす指の運動機能の独立性について明らかにすることを目的とした。20年度には、実験装置の作成と予備実験を実施し、一般人とピアニストを対象に、運動を伴う動的な場合と静的な力発揮の場合でデータを収集し、個々の指の独立性指標と静止性指標を計算するプログラムを作成することまでを完了することが狙いとした。現時点での進行状況は、実験装置を作成、予備実験の実施、データの解析プログラムの作成、それに基づき、得られたデータの解析が行われた。また、装置の信頼性を検討するために、再現性テスト実施した。まず、実験の装置は、予定していた手の固定装置が様々な手のサイズには適応しにくいことが判明し、いくつかの改良が加えられた稼動が確認された。それに基づき一般人3名を対象にした繰り返しの予備実験(が行われた。そのデータに基づき再現性の検討を実施した結果、動的運動機能の評価でのデータの再現性は、十分に練習した後(7回程度)では88%となり、また、静的な運動解析である指先の力発揮に関しては91%となることが明らかとなった。それより少ない練習回数では信頼性が低下することも判明した。 したがって、慣れの影響を考慮に入れた実験(前日に十分な訓練を実施する)が必要であることが明らかとなった。また一般人の左右の手で得られたデータでは、独立係数が左右どちらの手でも母指、示指、中指、小指、環指の順に低くなることが左右の指で明らかとなった。また、動的な結果と静的な結果では、どちらの手においても、動的な独立性において指間での差が静的な結果よりも顕著になることが示唆された。これらのことを踏まえて、現在までに10名の一般人と5名のピアニストのデータ収集を完了し、そのデータの解析を行っているところである。これまでに実験装置および解析上の問題点などについて、一般人の予備実験データからの結果については、国内の学会、研究会および運動制御学関連セミナーで報告を行った。
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