2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の武道文化の成立基盤-新陰流と一刀流剣術の研究を通じて
Project/Area Number |
20500527
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Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
魚住 孝至 国際武道大学, 体育学部, 教授 (70203495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 幸敏 国際武道大学, 体育学部, 准教授 (20255178)
大保木 輝雄 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80114205)
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Keywords | 武道 / 剣術 / 新陰流 / 一刀流 / 流派 |
Research Abstract |
一刀流剣術に関しては小野家伝書に基づいた研究論文を仕上げた(以下、13.参照)。この論文で一刀流の元禄期前後の元来の太刀遣いと稽古体系の成立過程、および江戸後期から竹刀打ちの撃剣を受容して以降の太刀遣いの変容が明確になった。この成果を日本武道学会で発表した。 また新陰流の流祖上泉伊勢守信綱に関しては、本貫地にある西林寺(群馬県前橋市上泉)と、末裔の上泉家(山形県米沢市)を訪れて調査し、関係資料を収集した。この調査に基づき、これまでの研究を踏まえた論文を書いた。同時代資料と後代の資料を明確に区別するとともに、最近の研究で判明した史実に基づいてこれまでの関係全資料を厳密に史料批判することによって、これまでの通説を大幅に訂正した。さらに新陰流剣術の中でも江戸初頭の目録にありながらこれまで研究がほとんどなかった「二十七箇条截合」に関して、これが「表」の形(勢法)を実際に切ることが出来るか否かを吟味するために変化させる「砕き」であること、尾張柳生家では江戸後期から「試合勢法」として稽古されていることを明確にした研究論文をまとめた。 本研究の4年間の研究業績を、基盤となった5年間のものと合わせて一覧表で示すとともに、これらを通じて明確になった内容を研究報告としてまとめた。また江戸後期の18世紀に流派武術がいかに変容したのかを武術全般にわたって考察した論文を公刊した。さらに室町時代に流派剣術が成立してから、今日に至るまでの武道全般の歴史を見通しながら、中国・朝鮮武術や近代スポーツとの比較文化論的考察を行った日本武道学会特別講演と総説を書いた。これによって「日本の武道文化の成立基盤」がそれなりに浮き彫りにされたと思われる。
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Research Products
(9 results)