2008 Fiscal Year Annual Research Report
唾液中アミラーゼを指標としたストレス評価とストレスマネジメントへの応用
Project/Area Number |
20500599
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
入江 正洋 Kyushu University, 健康科学センター, 准教授 (00248593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 直亨 九州大学, 健康科学センター, 准教授 (80273720)
|
Keywords | ストレス / アミラーゼ / 唾液 / 交感神経 |
Research Abstract |
31名の健常者に対して、コンピュータを用いたカラーワードテストによる10分間の心理的ストレス負荷(2.5分毎に測定)を実施し、その前中後での唾液中アミラーゼ分泌量を携帯型測定器(ニプロアミラーゼモニター)で経時的に測定するとともに、Profile of Mood States(POMS)による情動の変化についても検討した。ストレス負荷では、負荷前と比べて唾液アミラーゼ量は分散分析では有意な増加を認めたが、多重比較では負荷前と比較して有意な上昇ポイントはみられなかった。一方、POMSの不安・緊張、抑うつ、怒り・敵意、活力、疲労、混乱などの情動は、ストレス負荷では有意な変化はなく、唾液アミラーゼ量とPOMSの項目との間にも有意な相関を認めなかった。そのため、今回用いたカラーワードテストによる精神作業はそれほど強い負荷とは考えられず,それでも唾液アミラーゼ量は上昇を示したものの,統計的に強い検出力を発揮するほどのものではなかったと解された。また、別の実験系として、32名の健常者を無作為に2群に分け、内田・クレペリンテスト(暗算負荷)と自律訓練法によるリラクセーションを順序を交換して行った。その結果、POMSの否定的な情動は概してストレス負荷で増加し、リラクセーションで軽減する傾向が窺われたが、唾液アミラーゼ量は個人差が大きく有意な変化はなかった。その他、運動と唾液アミラーゼとの関係を調べるために、11名の被験者に対して、6分間の安静の後に高強度(12分間)と低強度(24分間)の自転車エルゴメータ運動負荷を行い、安静時から運動後まで12分毎に唾液を採取してアミラーゼ濃度の測定を行った。その結果、安静時と比べて、高強度運動12分時および低強度運動24分時でアミラーゼ濃度の有意な増加がみられ、運動が唾液アミラーゼ分泌の増加要因になることが認められた。
|