2008 Fiscal Year Annual Research Report
若年者の心血管リスクの評価における脈波伝播速度の有用性の検証及び評価基準値の作成
Project/Area Number |
20500618
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
宮井 信行 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 准教授 (40295811)
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Keywords | 脈波伝播速度 / 肥満 / 心血管リスク / 若年者 |
Research Abstract |
本研究は、若年者における肥満ならびに血圧高値、脂質異常、耐糖能異常などに伴う心血管リスクを評価する指標として脈波伝播速度が有用であるかを検討し、そのうえで、この時期の身体発育や循環機能の発達による生理的変化を加味した評価基準値を作成することが目的である。本年度と次年度は、これまでの研究で収集された既存資料を補充するために、新たに調査校を拡充してフィールド調査を実施する計画であるが、本年度は大阪府、兵庫県、和歌山県下の中学校と高校の計4校で調査を行った。対象者には、脈波伝播速度、血圧、心電図などの循環機能検査と、身長、体重、ウエスト周囲径、皮下脂肪厚などの身体計測、空腹時採血による糖代謝、脂質代謝の指標およびアディポサイトカインの測定を実施した。現時点での研究成果として、若年者における脈波伝播速度は男女ともに年齢が上昇するにつれて高値となる変化を示すとともに、いずれの年齢においても男子が女子よりも高く、その差は加齢とともに少しずつ大きくなっていた。また、この時期の脈波伝播速度は、主として加齢による血圧の変化に強く関連しており、循環機能の発達に伴う血圧上昇や心拍数の増加、あるいは血管の壁厚や内腔の大きさの変化などに反映されてくる可能性が考えられた。一方で、肥満者では性や年齢の影響を加味しても非肥満者よりも脈波伝播速度が高値を示すほか、血圧高値や糖代謝およびリポ蛋白の指標の上昇とも関連し、これらの危険因子が集積することで脈波伝播速度がより高値となることも示された。したがって、若年者における心血管リスクの評価指標として脈波伝播速度が利用しうること、また、その際には身体発育に伴う生理的変化の影響を考慮することが不可欠であることが示唆された。次年度は、本年度の調査校と新規の学校を対象に同様の内容の調査を実施し、脈波伝播速度の有用性を検証するための横断的分析をさらに進めるとともに、評価基準値の作成を試みる。
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Research Products
(3 results)