2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500633
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
横山 英世 Nihon University, 医学部, 准教授 (90120584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井田 隆 日本大学, 医学部, 教授 (40321864)
兼板 佳孝 日本大学, 医学部, 准教授 (40366571)
齋藤 安彦 日本大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (00277485)
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Keywords | 睡眠時間 / 不眠症 / サブタイプ / 入眠困難 / 生活習慣病 / うつ病 / 縦断研究 |
Research Abstract |
【研究目的】:睡眠時間と生活習慣病との関連を疫学的手法によって解析する。 【研究の背景】:生活習慣の睡眠の障害や肥満(BMJ 2009;339:b3868)の要因が発症に強くかかわることが報告されている疾患にうつ病がある。本研究では生活習慣病を広義にとらえ、その範疇にうつ病を含めて考えた。はじめに睡眠時間が短時間である不眠症とうつ病との関連を検討した。うつ病と不眠症との強い相互の関連性が実験研究や疫学研究によって証明されてきた。不眠症を構成するサブタイプである入眠困難、早朝覚醒、中途覚醒との関連についての従来の報告では早朝覚醒とうつ病の関係が強いとする研究結果が主流をなしていた。しかし、最近、研究分担者の兼板らが全国の地域住民約2万人を対象に行った疫学調査の結果は異なり、入眠困難がもっとも強いとする結果であった。そのため、何故にこの違う結果が得られたかについて検証が望まれていた。 【解析方法】:従来の研究は横断研究がほとんどでEBMの視点から因果関係に言及できる縦断研究による研究を計画した。日本大学人口研究所が日本全国の65歳以上の地域高齢者約5000人を対象に訪問面接調査により、「健康と生活に関する調査(NJULOA)」のコホート調査を行っている。調査期間は2003年をベースラインとして、2006年までの3年間の結果を解析した。解析は多重ロジステック回帰分析を用いた。 【結果】:横断研究と縦断研究の両方で入眠困難と早朝覚醒が有意に関連したが、3年間の縦断研究では入眠困難だけが有意の関連があり、うつ病の発症に関与するのは入眠困難ではないかと推測された。この結果は今後のうつ病の治療と管理において、留意すべき知見であると考えられる。 また、2度以上肥満(BMI30以上)の要因もうつ病と有意の関連が見られ、生活習慣との関与がみられるが、肥満と関連する機序の解析は今後の課題である。
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