2008 Fiscal Year Annual Research Report
「生活の安全保障」アプローチによる「持続可能な開発のための教育」に関する研究
Project/Area Number |
20500644
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松葉口 玲子 Yokohama National University, 教育人間科学部, 准教授 (30304562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真人 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40209705)
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Keywords | ESD / 生活改良普及事業 / 生活綴方・生活記録運動 / 生活改善 / 生活の組織化 / 持続可能性 / ジェンダー |
Research Abstract |
研究初年度にあたる本年度は、「生活の安全保障」の意義について明示化を図るとともに、「国連・持続可能な開発のための教育の10年」(「ESDの10年」と略)が開始されて中間年にあたる国内外の動向把握に努めた。 まず、日本が高度経済成長を遂げた背景の根底には、「生活の安全保障」として、生活改良普及事業、生活改善運動、消費者教育等、「生活の組織化」への「女性の動員」があったこと、同時に戦後の「生活」という用語には民主的志向を見出すことができ、今日の総合的学習の嚆矢といえる問題解決型学習や生活教育はPLAとの、生活綴方教育や生活記録運動はフレイレの教育実践との親和性が高いこと、こうした日本の経験が有する特異性は、「持続可能な開発」と「教育」について考察するうえで検討するに値すること等を論文化した。 ESDの動向については、8月にスイスのルツェルンで開催されたIFHE100周年記念大会に参加し、ESDをテーマにした研究が、従来の環境教育や開発教育といった枠組みを超えて広く進展していることを確認した。また、3月には「ESDの10年」のこれまでを振り返り今後のあり方について議論をする中間年レビュー会合としての位置づけの「ESD国際会議」がドイツのボンで開催され、それに参加することが許された。同会議は「ESDの10年」のリード・エージェンシーであるユネスコが主催し、各大臣・政府関係者、大学、NGOを含む150カ国以上・約700名が集まったものであり、最新の動向を把握することができたと同時に、UNEPが中心となった「持続可能なライフスタイルと責任消費」に関するワークショップに参加することで、これまでの研究との整合性および今後の展開の可能性について確信を持つことが出来た。
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