2009 Fiscal Year Annual Research Report
「生活の安全保障」アプローチによる「持続可能な開発のための教育」に関する研究
Project/Area Number |
20500644
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松葉口 玲子 Yokohama National University, 教育人間科学部, 准教授 (30304562)
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Keywords | ESD / 生活改良普及事業 / 生活綴方・生活記録運動 / 生活改善 / 生活の組織化 / 持続可能性 / ジェンダー |
Research Abstract |
昨年に引き続き、国連ESDの10年の動向把握に努めるとともに、「生活の組織化」に関する考察を深めた。そのうち、生活綴方や新教育運動の今日的意義について整理し、学会発表を行った。また、「生活の安全保障」アプローチによるESDの有効性について、連携研究者の丸山は2月に熊本県小国町を、研究代表者の松葉口は研究協力者のシュレスタとともに3月にネパールを調査し、日本の経験の意義について示唆を得た。 特にネパールでは、本研究テーマの包括的示唆を得ることができた。具体的には、世帯内へのバイオガス導入の現状とフェアトレードの生産現場について調査を行うとともに、ESD推進を担っているユネスコや地域センター、ジェンダー課題についてはUNDP等で情報交換を行ない、さらに女性団体との交流を図った。その結果、世帯内におけるバイオガスの導入が有効であるか否かについては女性の果たす役割が大きく、それはその女性が受けた教育レベルと相関関係にあることが示唆された。例えば、教育レベルが低い場合にはバイオガスを導入してもその使い方がわからず有効利用できない一方で、教育を受けた女性は上手く活用して家事労力の軽減と自由時間の確保を実現していた。これらから、女子教育の重要性とともに、日本のかつての生活改良普及事業のような啓発活動の存在の重要性が示唆された。また、自然保全活動においても、今後はジェンダーと階級の視点が重要であることを確認することができた。 以上、「生活の安全保障」とESDとを繋げるうえで、ジェンダー課題を含む日本の経験の意義を再確認することができた。
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Research Products
(4 results)