2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500645
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鳴海 多恵子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90014836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 博子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (70167013)
日景 弥生 弘前大学, 教育学部, 教授 (10142829)
雙田 珠己 熊本大学, 教育学部, 准教授 (00457582)
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Keywords | 手指の巧緻性 / 糸結びテスト / 玉結び / 玉どめ / 刺し子 / 手縫い / ものづくり学習 |
Research Abstract |
手縫いの基礎技能の習得において、手指の巧緻性が深く関与することが前年度の研究から明らかになったことから、小学校で学習する手縫いの基礎技能(玉結び、玉どめ)の習得における困難点と課題を検討した。その結果、学習後、1年経過した時点での基礎技能の定着に関する自己評価は向上しているにも関わらず、巧緻性の低い児童は得意意識が低下していた。さらに定着したと自己評価している基礎技能について実態を確認したところ、指導通りの方法が定着していることと手指の巧緻性の優劣とに関係が認められ、成績の低い児童には自己流の方法で糸の端に玉を作る傾向が強いことが確認された。これらの結果から、手縫いの基礎技能の指導においては個別の手指の巧緻性の把握が必要であること、巧緻性の低い児童においては、「糸端をつまむ」操作から困難な状況があり、そのために被服製作学習の最も基本となる技能の的確な定着がなされないことが明らかになった。なお、小学校の学習から10年を経た大学生についても同様の確認をしたところ、「玉結び」の自己流による定着の割合が小学生を上回る高い割合で出現することが確認され、学校教育以外での縫製経験の機会が少ない環境での基礎技能の的確な定着の困難さが伺えた。一方、手縫いの基礎技能(玉結び、玉どめ、並縫い等)の習得を目指した教材として、中学校における「刺し子」の学習について手指の巧緻性との関連を踏まえて有効性を検討したところ、手指の巧緻性は作業の進度、目視評価によるできばえと関連が見られた。また、男女ともに達成感が高いことは、針を刺す位置が記され、同じ作業を反復する刺し子の特徴が、作業の見通しの明確さと技能の向上を自覚できることに起因するものと推察された。高校生(3年生)における糸結びテストの成績は、男子10.6ポイント、女子16.0ポイントで前回測定(1995年1,2年生)との差はみられなかった。
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