2010 Fiscal Year Annual Research Report
都市度別にみた育児期母親の育児ネットワーク・サポートと育児サービス利用の研究
Project/Area Number |
20500656
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
立山 徳子 関東学院大学, 人間環境学部, 准教授 (00327248)
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Keywords | 都市度 / パーソナル・ネットワーク / 育児サポート / ネットワーク戦略 |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)都市度により育児期母親の世帯内・世帯外のパーソナル・ネットワークにはどのような差異があるのか。(2)都市度によって異なる子育て環境があるとすれば、当事者(育児期母親)はどういった子育て課題を認識しているのか。以上の2点を属性や階層変数をコントロールした上で、分析し明らかにすることにある。 当該年度は、家族内部にある子育てネットワークの資源動員の差異が家族外部の子育てネットワークの資源動員とどのような関連をもって存在するのかという観点から、調査データの分析および論文執筆をおこなった。 分析から得られた知見は以下の通り。(1)そもそも都心・郊外・村落により母親たちの保有するネットワーク分布には差異がある。(2)親(特に実親)の居住地は母親本人の子育てネットワーク獲得と(親族の結節点また母親の社交援護の2点で)深く関係している。これと関連して、(3)都市度別には郊外母親が特に(実親が遠方居住であることから)、子育てサポート資源獲得が貧弱である。(4)夫サポートも母親(妻)の社交や子育てネットワーク獲得(義理親・友人)を促進する。(5)夫と実親からのサポートは母親の育児孤立感を低減させる効果をもつが、この効果は都市度により異なる。総じて、(6)都市度別には村落母親が最も豊かな子育てネットワークを多様に獲得する一方、郊外母親のそれは最も貧弱な傾向にある、だが、(7)郊外母親はその補完としてママ友の積極的な活用がみられ、特にママ友には「子育てサポート」を期待する傾向が強かった。総じて重要なことは、(8)家族内の育児サポート不足を家族外の育児サポートが補完するという構造は見出せないという点だ。家族内サポートと家族外サポートはむしろ正の相関関係にある。またそのことは子育てサポートを家族内外の双方から充分に得られず、「子育て=弧育て」という現状に陥る者があることを意味する。
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