Research Abstract |
本研究では,一般の研究者が安心して利用できる新しい都市・地域解析手法を考案し,それを実践するソフトウェアを開発することを目的とする。とくに道路ネットワークデータを活用することに焦点をあてて新しい解析手法を考案し,ソフトウェアを開発・提供していくことを目指している。この目的のため,研究4年目の平成23年度は,前年度までと同様に,青山学院大学の岡部篤行教授らに意見を伺いながら,SANETとよばれるソフトウェア開発プロジェクトの中で,本研究の目的を実現させようとしている。その実装には,(株)パスコの佐藤俊明氏らがボランティア協力してくれており,開発したベータ版のツールを国内外の研究者らに広く宣伝・公開して意見を集めてきたものを踏まえて,新たにツールの改良をすすめてきた。その改良作業にあたっては,OSのバージョンの違いなどに対応すべく,いくつかのテスト環境が必要であったため,新たに開発試験用の環境を整えた。その結果,改良版ソフトウェアを年度内に公開できた。同時に,改良版ソフトウェアの簡単な指南書やウェブサイトも供給・公開した。 一方で,開発したソフトウェアの使い方を一般研究者に広く示し,誘導するため,実践的な分析例を蓄積することに注力した。具体的には,i)既存の歴史地理GISデータを例にとりあげ,これをつかった解析を通して,歴史(地理)分野での応用可能性をアピールすること(アメリカ地理学会にて発表) ;ii)現代社会における地理的問題に対する解析事例を通して,その解析手法とともにアピールすること(日本地理学会にて発表),の2つができた。 こうしたアピールができたものの未だ不十分であるので,その対応策に着手した。具体的には,改良版ソフトウェアの利用を前提に,その使い方を広めるための講習会を開く計画である。解析手法・ソフトウェアともに国内外で使われることを考えているので,こうした講習(実習)の機会に海外で広く使われているタブレット端末などのデバイスを試せないかなど,その検討に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
この種の解析手法と解析ソフトウェアについては,それぞれ開発するだけでは効果が薄く,その使い方をいかに具体的に提示できるかがきわめて重要である。そのため,指南書やウェブサイトの開設・公開を行っているものの,まだ不十分であるので,国際学会などでの講習会(セミナーやチュートリアル)開催の機会を得られないか,検討しているところである。
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