2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起における情報統合を考慮した海馬体の記憶認知機能の実証的理論研究
Project/Area Number |
20509001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 敏明 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (10391898)
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Keywords | 理論神経科学 / カルマンフィルタ / データ同化 / 海馬体 / 樹状突起 / シナプス統合 / ニューラルネットワーク / 記憶機能 |
Research Abstract |
本研究の初年度に当たる本年度は, まず, 海馬樹状突起における情報統合機序に関する研究を実施した.樹状突起において不均一に分布する膜特性は, 単一神経細胞による情報統合機序に深く関与しており, 単一神経細胞の作動と局所回路の機能との間の関係を明らかにする上で重要である.イメージングデータと数理モデルを用いたデータ同化により, 膜特性の変化の緩急性を検討し, 樹状突起における膜特性の変化が急峻であることを示唆する結果を得た.この結果は, 海馬樹状突起における膜特性の区画化が, シナプス入力の分布が示す区画化に対応することを示唆する.この成果は, 英文学術雑誌(Neuroscience Research誌)に受理され, 既に公表されている.さらに, 逐次的データ同化手法に基づく推定法を考案し, 第31回日本神経科学大会で発表を行った.次に, 単一神経細胞における情報処理と神経ダイナミクスとの問の関係性を明らかにするために, スパイク応答モデルのスパイク誘引平均を解析的に導出した.スパイク誘引平均が閾値下ダイナミクスを表すカーネル関数により表されることを示した.この成果は, 日本物理学2008年秋季大会, 日本神経回路学会第18回全国大会で公表した.さらに, 海馬などの脳領野における認知機能が示す複数の情報表現様式を実現する神経回路網モデルを考案し, 統計力学を用いた解析を行った.この成果は, 電子情報通信学会技術研究報告で公表し, 日本物理学会第64回年次大会, 日本神経回路学会第18回全国大会等で発表を行った.
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Remarks |
基盤C
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