2009 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起における情報統合を考慮した海馬体の記憶認知機能の実証的理論研究
Project/Area Number |
20509001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 敏明 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (10391898)
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Keywords | 海馬 / 記憶認知機能 / 理論神経科学 / 樹状突起 / 神経細胞 / 神経ダイナミクス / 数理モデル |
Research Abstract |
本研究の2年度目にあたる本年度は,まず,海馬樹状突起における情報統合機序に関する理論研究を実施した.樹状突起遠位部への入力情報が細胞体発火へ与える影響を明らかにするために,昨年度の研究で推定された膜抵抗分布を用いて理論研究を実施した.樹状突起遠位部への入力が細胞体発火を引き起こす上で,樹状突起における膜抵抗分布が重要な役割を果たすことを示唆する結果を得た.この成果は,国際学会のorganized sessionにおける発表の依頼を受け,英語口頭発表により公表した.次に,神経細胞の符号化特性が細胞の活動レベルに依存するという知見を解析的に検証するために,スパイク応答モデルを用いた解析を行った.この解析より,閾値上でのスパイク誘発平均と閾値下でのスパイク誘発平均の間で符号化特性が変化を示すことを明らかにした.この成果は,その成果を日本物理学会第65回年次大会や日本神経回路学会第19回全国大会で公表するとともに,英文学術雑誌(Physical Review E誌)に受理され,既に公表されている.加えて,スパイク応答モデルの位相応答曲線の解析研究を行い,和文学術雑誌に掲載された(情報処理学会論文誌数理モデル化と応用誌).さらに,海馬などの脳領野における認知機能が示す情報表現様式を実現する神経回路網モデルの解析を進め,英文学術雑誌(Journal of the Physical Society of Japan誌)に公表した.
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