2010 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起における情報統合を考慮した海馬体の記憶認知機能の実証的理論研究
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20509001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 敏明 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (10391898)
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Keywords | 海馬体 / 記憶機能 / 認知機能 / 海馬CAI / 数理モデル / 情報統合機序 / 数理生理学 / 理論神経科学 |
Research Abstract |
本研究の3年度目にあたる本年度は,海馬樹状突起における情報統合機序を明らかにするために,数理モデルを用いた理論研究を進めた.特に,細胞内の情報伝播と膜特性の空間分布との関係性を解明するために,コンパートメントモデルを用いたシミュレーションを行った.このシミュレーションにより,海馬細胞の樹状突起遠位部へ与えられる感覚入力が細胞応答に与える影響に対して,樹状突起における膜抵抗分布が重要な役割を果たすことを示すとともに,樹状突起上の膜特性分布と細胞形態との間の関係が重要であることを示した.この成果は東京大学ビジュアライゼーションシンポジウムにて公表し,その結果を学術雑誌に纏めた.次に,海馬細胞などで見られる周期的振動の理解を深めるために,位相応答曲線における非線形効果に関する解析的研究を行った.スパイク応答モデルを用いた解析を行うことにより,非線形性の効果を含む位相応答曲線を解析的に導出し,この解析結果をHodgkin-Huxley型のニューロンモデルを用いた数値シミュレーションにより検証した.この成果は,日本物理学会第66回年次大会での発表で公表した.加えて,神経符号化と膜特性の間の関係に関する理論研究を進めた.スパイクトリガー解析に注目し,情報符号化の指標であるSpike-Triggered AverageやSpike-Triggered Covarianceと膜特性との関係を明らかにするための解析研究を行った.この研究成果は,Society for Neuroscienceの年次大会や,日本神経科学学会,日独計算論的神経科学ワークショップで公表した
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