2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物細胞におけるDNA蛋白クロスリンク損傷修復過程の解析とその生物影響評価
Project/Area Number |
20510051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田野 恵三 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (00183468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菓子野 元郎 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (00437287)
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (80238914)
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Keywords | 修復 / 生物影響 |
Research Abstract |
活性酸素種(ROS)は、種々のDNA塩基損傷を生じさせるが、DPCs(DNA蛋白クロスリンク)を生じる因子としても知られている。活性酸素種は正常な生理作用でも生じる事から、内因的なDPC誘発因子の一つと考えられる。外的要因に関係なく、内在性ROSのDPC生成への関与を評価するために、トリDT40細胞を用いてROSの消去に関わる2つの遺伝子、SOD1とSOD2のコンデショナルノックアウト細胞を作成し解析した。細胞質や核に存在するSOD1のノックアウト細胞は、細胞内SOD1枯渇状態で細胞死が誘導された。また塩基損傷に指標である脱塩基サイトの上昇が認められ、さらにDPCsが原因損傷の一つである娘染色体交差(SCE)の上昇が認められた。さらにSOD1をそれぞれ細胞質、或は核に局在強制発現させる細胞を作成して解析した結果、核内強制発現した細胞の方が、細胞質強制発現細胞よりSCEの産生が抑制された。一方、ミトコンドリアに局在するSOD2のノックアウト細胞では、SOD2枯渇下でも細胞死が見いだされないが、顕著な増殖遅延が観察された。しかしながら娘染色体交差の上昇は認められなかった。以上のことから、1)内在的なROSによるDPCsの原因になり得ること。2)ROSの細胞内での局在性の違いで、DPCを生じる様なDNA損傷を与える場合と与えない場合が明確に区別出来ることが明らかになった。特に強制発現細胞の解析からROSの半減期を考慮すると、染色体DNAのより近傍でROSが存在する必用あることを明らかにした。以上の結果は既に投稿、掲載されている。
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Research Products
(7 results)