2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学発がん過程における細胞内および細胞間シグナル伝達機構のイメージング解析
Project/Area Number |
20510071
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
今井 俊夫 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 支援施設長 (20342884)
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Keywords | 化学発がん / ラット / シグナル伝達 / イメージング解析 / 多重蛍光染色 |
Research Abstract |
DMBA誘発ラット乳腺発がんモデルの腫瘍性病変について、エストロジェン受容体α(ERα)および乳がん細胞に対する肥満関連の増殖因子と考えられているレプチンの受容体(ObR)について多重蛍光染色により同時検出した。蛍光色素として、ERαにはAlexa-568、ObRにはFITC、細胞核にはDAPIを用いた。3CCDデジタルカメラでRGBの各画像を記録し、個別の細胞の認識ならびにRGB各染色像を多層化して解析可能なイメージング装置(Developer、Definiens社)により、腺がんの細胞核におけるERαおよび細胞膜におけるObRの蛍光輝度を比較した。RGB比によりERα陽性と判定された乳がん細胞は77.2%、ObR陽性細胞は15.6%であった。また、ObR陽性細胞のうち97.7%はERα陽性で、ObRの蛍光輝度を0、1、2に区分けした際のERαの蛍光輝度は各々36±22、50±22、61±20であったことから、ERαの発現とObRの発現の間における強い関連性が示唆された。ヒト乳がん細胞を用いた研究ではERαとObRの間の双方向のシグナル伝達経路が存在し細胞増殖に関与することが示されており(Fusco Rら、2010)、ラット乳腺発がんモデルを用いた今回の実験では、乳腺組織においても同様の事象が存在する可能性を示した。BOP誘発ハムスター膵管発がんモデルについても、その初期病変である過形成および異型過形成における膜型ムチンのMUC1/4の発現と細胞増殖ならびに周囲の炎症細胞浸潤との関連性を解析すべく検討を開始した。免疫組織化学により過形成/異型過形成の20-60%にMUC1/4が過剰発現していることを確認した。
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