2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子間エネルギー移動を用いた分子フォトニックゲートの構築とその動的解析
Project/Area Number |
20510122
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
大友 明 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センターナノICTグループ, 研究マネージャー (30359096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 幸人 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究センターナノICTグループ, 専攻研究員 (90280578)
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Keywords | ポルフィリン / エネルギー移動 / 分子素子 / 光ロジック |
Research Abstract |
ポルフィリン分子アレイは、中心の配位金属の種類により励起準位のエネルギーレベルや寿命が異なることから、エネルギー移動制御のモデル分子として有用である。ポルフィリン分子アレイにおけるエネルギー移動の光制御の可能性を明らかにするために、まずZn-Fbポルフィリン分子アレイを分散した高分子膜の過飽和励起蛍光スペクトルの測定を試みた。しかし、高強度のフェムト秒レーザーの多光子吸収による分解が支配的となり、再現性ある測定結果は得られなかった。この問題を解決するために、多光子吸収を抑制するためのパルス伸長光学系を構築した。また、アレイ分子を独立して励起するために、既存の2波長可変フェムト秒レーザーの出力を、光学遅延ステージ、高開口数顕微鏡レンズを介して試料に導き、反射蛍光をダイクロイックミラーで分光し、光電子増倍管(PMT)で測定する、2波長励起時間分解蛍光顕微分光システムを構築した。先述のパルス伸長光学系はアレイ分子独立励起においても有用である。ポルフィリン分子アレイのエネルギー移動におけるリンカー分子の回転が及ぼす影響について明らかにするために、蛍光アップコンバーションによる時間分解測定を行った。分子アレイをトルエン中に分散した系については、室温における光励起エネルギー移動速度は25psであり、他の報告と一致した。しかし、これまで報告されていない100fs以下の速い緩和成分の存在が明らかとなった。この速い成分は溶媒の粘性が高くなる低温では観測されず、一方で遅い成分に変化はないことから、速い成分がねじれ運動等の何らかの構造緩和に関連するものであると考えられる。分子アレイを基板上に配置するために分子アレイの一端に三脚状のアンカー分子を結合した分子を新規合成し、この単分子膜の作製評価に着手した。
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