2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子間エネルギー移動を用いた分子フォトニックゲートの構築とその動的解析
Project/Area Number |
20510122
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
大友 明 National Institute of Information and Communications Technology, 未来ICT研究センター・ナノICTグループ, 研究マネージャー (30359096)
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Keywords | ポルフィリン / エネルギー移動 / 分子素子 / 光ロジック |
Research Abstract |
Zn-Fbポルフィリン分子アレイは、ZnポルフィリンとFbポルフィリンの吸収波長が560nmと516nmとそれぞれ異なることと、Znポルフィリンを光励起したエネルギーがFbポルフィリンヘエネルギー移動を行うことを利用して、単一分子による光論理動作を実現しようとする分子素子である。本研究では、基本動作検証のために照射タイミングが制御できる560nmと516nmの異なるパルス光が必要であり、これには同期したオプティカルパラメトリック増幅(OPA)を用いる。しかし、これまでOPAのフェムト秒パルスでは光強度が強く多光子吸収による分解が起こり、再現性のある実験を行うことが困難となっていた。この問題を解決するために、分散媒質を用いたパルス伸長光学系を構築したが、伸張幅が不十分であり、解析に十分な測定結果が得られていない。現在音響光学素子を用いた更なるパルス伸張を試みており、これを用いて測定を行う予定である。分子アレイを金属基板上に配置するために分子アレイの一端に三脚状のアンカー分子を結合した分子を新規合成し、この単分子膜の作製を行った。アンカー分子の末端のSと基板上のAuが選択的に結合し、三脚を立てた状態で分子が結合し、分子アレイを基板に垂直に配置することが出来る。分子の結合様態のSTMによる観察を試みたが、基板上の吸着物が分子アレイの長さ相当ではあるものの、分子アレイそのものであるとの確証は難しい。このため、分子アレイのない三脚分子のみの分子を合成し、共吸着させることで再確認を試みている。金属基板上の分子は、励起エネルギーが金属に流れてしまうため、蛍光が失活し発光は通常見られないが、金属基板上に三脚結合した分子アレイからは蛍光発光が観測された。これは、分子アレイが基板に対して垂直に結合していることで基板表面と分子間距離が離れていることを示唆する結果である。
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