2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規ハイブリッド型ポリケタイド合成酵素Steelyの構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
20510196
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
齊藤 玉緒 Sophia University, 理工学部, 准教授 (30281843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 直樹 (独)産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門・分子発現制御研究グルーフ, 研究グループ長 (60371085)
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Keywords | 二次代謝産物 / ポリケタイド合成酵素 |
Research Abstract |
申請者は細胞性粘菌の新規ハイブリッド型ポリケタイド合成酵素Steely酵素が分化誘導分子DIF-1を合成することを明らかにした。このSteely酵素はI型脂肪酸合成酵素(FAS)のチオエステラーゼドメインがIII型ポリケタイド合成酵素(PKS)に置き換わると言う特異な構造を持つ酵素であった。この構造はいわば天然のドメイン交換によるものと考えられる。そこで本研究はコンビナトリアル生合成への応用を視野に入れ、別個の酵素と考えられていたI型FASとIII型PKSが構造上どのように融合し、協調して機能しているのか、どのようにして異なるいくつかの産物を作り出しているのかを明らかにする事を目指している。21年度の研究ではSteelyB酵素のI型FASとIII型PKSの間でどのように産物が受け渡しされるのか、そのメカニズムの解明を中心に研究を進めた。 昨年度の実験ではタグをつけたSteelyB酵素をそのタグをもとに精製し、in vitroで基質を与えてDIF-1のポリケタイド骨格を作るかどうかを検証した。その結果、他のタンパク質の介在無しにSteelyB酵素は単独でDIF-1のポリケタイド骨格を作った。この結果アシルキャリアプロテイン(ACP)ドメインが仲介していると言う考えを支持するものであった。また、SteelyB酵素の発生後期のDIF-1以外の産物はIII型PKSの部分が切り離されて単独でphloroglucinolをつくり、これを基本骨格としている事が推定された。このような酵素はこれまでに報告がなく、細胞性粘菌のような微生物が数少ない酵素で最大限の多様な産物を作り出そうとするシステムと理解され、新規酵素の創成に応用できると考えている。
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