2008 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ類花器におけるカフェイン合成能と虫媒の関係の分子生物学的解釈
Project/Area Number |
20510201
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
水野 幸一 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (30302376)
|
Keywords | カフェイン / カンキツ類 / メチルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
カフェイン合成を司る酵素遺伝子は、コーヒーやチャについて単離・機能解析が進められており、植物の生長制御に関わる化合物のメチル化を行なう酵素と類似の構造を有する一群(モチーフB'-メチルトランスフェラーゼファミリー(B'-MTs))を形成していることが明らかとなっている。一方、カンキツ類について、カフェインが花器特異的に存在するとの報告があるものの、その酵素遺伝子は不明のままであった。そこで、カンキツ類のカフェイン合成においてもB'-MTsに属する酵素が関与しているとの仮説のもと、スダチを材料にカフェインシンターゼ(CS)遺伝子の単離と機能解析をめざした。B'-MTs保存領域のディジェネレートプライマーとスダチのつぼみより調製した全RNAを用いたRT-PCRと、オレンジ、ミカンなどのカンキツ類のESTデータベースに対するin silicoスクリーニングの結果、3種類のCS候補遺伝子(CitMT1、CitMT2およびCitMT3と命名)が見いだされた。そこでまず、今後の研究計画も考慮してスダチつぼみ由来cDNAライブラリーを作製した。このライブラリーを鋳型として、またESTデータベースおよび先のRT-PCRの結果からの配列情報をもとに作製したプライマーを用いてPCRを行い、CitMT1、CitMT2およびCitMT3の全長の単離に成功した。それぞれ全長1104、1053および1083bpであり、368、351および361アミノ酸からなる酵素タンパク質をコードしていた。これらは、コーヒーのCSであるCCS1とそれぞれ42.4、39.7、41.9%の相同性を示した。pET-systemを用いた大腸菌発現系を構築し、現在、発現条件を検討中である。
|