2009 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツ類花器におけるカフェイン合成能と虫媒の関係の分子生物学的解釈
Project/Area Number |
20510201
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
水野 幸一 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (30302376)
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Keywords | カフェイン / カンキツ類 / メチルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
カフェインは特定の植物種に見られる二次代謝産物であり、コーヒーやチャが有名であるが、カンキツ類では花器特異的に存在するとの報告がある。その合成を司る酵素遺伝子について、コーヒーやチャで単離・機能解析が進められており、植物の生長制御に関わる化合物のメチル化を行なう酵素と類似の構造を有する一群(モチーフB'-メチルトランスフェラーゼファミリー(B'-MTs))を形成していることが明らかとなっている。今年度、コーヒーとチャのカフェインシンターゼ(CS)に関して2報の論文を提出した。一方、カンキツ類では酵素遺伝子がこれまで不明のままであったが、これらにおいてもB'-MTsに属する酵素が関与しているとの仮定し、スダチを材料にCS遺伝子の単離と機能解析をめざした。これまでに3種類のCS候補遺伝子(CitMT1、CitMT2およびCitMT3と命名)が見いだされているが、このうちCitMT2はN-メチル化活性を持たないことが判明した。他の2つについては大腸菌で生産される組換え型酵素の量が少なく、活性の確認に至っていない。現在、発現条件の更なる検討を行っている。また、オレンジ、ミカンなどのカンキツ類のESTデータベースが最近さらに充実していることから、これらに対するin silicoスクリーニング再度行った。その結果、花器特異的に発現しているB'-MTsに属する酵素遺伝子を新たに2種類見いだした(CitMT4およびCitMT5と命名)。現在、それらの単離を行い、pET-systemを用いた大腸菌発現系を構築し、発現条件を検討中である。
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