2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ労働組合における雇用均等推進に関する研究---女性部の限界と可能性
Project/Area Number |
20510253
|
Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
柚木 理子 Kawamura Gakuen Woman's University, 人間文化学部, 准教授 (20327216)
|
Keywords | ドイツ / 労働組合運動 / ドイツ労働組合総同盟(DGB) / 労働組合女性部 / 女性運動 / 均等待遇政策 / ジェンダー / 男女問賃金格差 |
Research Abstract |
平成20年度においては、ドイツの雇用動向の把握と労働組合組織率並びに労働協約適用率等ドイツの労働組合をめぐる状況の把握を継続しつつ、ドイツ労働組合総同盟(DGB)女性部の均等政策の分析のため、労働組合の一次資料の収集並びにDGB女性部幹部並びに女性運動グループ当事者への聞き取り調査を中心に行なった。また、本年度は、4年に一度開催されるDGB連邦女性会議の開催年に当たり(2010年1月)、同会議に出席し参与観察を行なうことができたことは大きな収穫であった。 本年度の中心的課題は、昨年から行なわれているジェンダー・ペイ・ギャップ是正のためのキャンペーン"Ich bin mehr wert"の分析であった。DGB女性部が中心となり、DGB傘下女性部並びに外部の女性団体と連携して行なわれた同キャンペーンは2009年度も継続され、賃金格差問題を社会的に顕在化させ、労働組合の中心的政策の一つである労働協約政策に反映させる契機となった。また、組織率低下に伴い、労組改組の議論が再浮上しており、その中において、女性部の位置付けが課題として挙げられた。改組議論を踏まえながら、DGB女性部の存在意義を今後さらに分析する。 本研究の中間的成果として、2009年8月、シドニーにて開催された国際労使関係学会(IIRA)で、DGB女性部が他の女性グループと共に展開した、ドイツで初めてとなる男女間の賃金格差を問題にしたキャンペーン"Ich bin mehr wert"を事例として、労働組合女性部と他の女性運動との連携の可能性をタイトル"A New Movement to Regenerate Trade Unions in Germany--The Impacts of Women's Linkage on Trade Unions"で報告した。
|