2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子揺動の論理-圏論による記述 : 時空の起源からの考察
Project/Area Number |
20520002
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中戸川 孝治 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 教授 (20237316)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽部 朝男 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (90180926)
新井 朝雄 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80134807)
田中 一 北海道大学, 名誉教授 (50000716)
|
Keywords | 哲学 / 部分構造論理 / 圏論 / 時空 |
Research Abstract |
哲学面 : 物理学の基礎概念の理解をプロジェクト関係者間で深化共有できた。研究会を月に1程度開催し、各メンバーの専門分野の講義を行い、少数の専門家間での徹底的研究討議を重ねた。分担者(新井)の執筆した諸著作・諸論文を随時閲覧し、各自'が異分野の専門知識を補強した。観測データとゲーデル宇宙と関係を分析し、(i)宇宙の回転は否定されないと考えることはできない、(ii)宇宙初期の方が,回転の影響は大きいと考えられるので、物質の創成や核合成に多大な影響を与えると考えられる、(iii)それが実際には観測されていない以上、宇宙全体の回転を考えるのは妥当ではない、という結果をえた(羽部)。したがって、ゲーデル実在論の根拠の一端はくずれる。論理面 : 非可換肌とProof-Netとの関係を調べるのに先立ち、前者の構文論に未確定部分を発見し、推論規則のパラーメタの位置を確定をすることに成功した。この体系のcut-eliminationが未解決問題であると指摘した。QuantaleがFLのリンデンバウム代数と同種の構造を有するという事実が、量子力学の法則と非古典論理学の法則とは同じくらい改訂不可能である、というテーゼに与える影響について、前者は後者を「同じくらい改訂可能である」という形で補強することが解明された。(中戸川他)物理面 : Cobe,WMAP等の観測データの意味への理解を深めた。ヒルベルト空間の内積について、田中一は新たな着想を得て、これに基づき元始量子力学と呼ぶべき理論の端緒を開いた。本年度は、異分野の結果を自らの研究に役立つ形で理解するという目的のため、異分野の専門家が一定の場所にあつまり、集中して研究討議をするための環境の整備が重要な課題であった。月例回、および、連携研究者(内井惣七、白旗優、藤本忠)を招いての研究会等における講義・討議をとおして、この環境整備にメドをつけることが出来た。
|
Research Products
(12 results)